富山県森林・木材研究所振興協議会(事務局=富山県木材組合連合会)は、県産スギ大径材の構造利用技術をまとめた普及書を刊行した。
普及書は、大径材を構造材として利用するための技術開発に取り組む県木材研究所の監修のもとに、これまでの研究成果を一冊にまとめた。A4判、49ページで、▽原木編(丸太を選ぶ際に目的に合った製材品を得るための参考となる材質などの基礎情報)▽製材編(製材品の強度・木取り・曲がり・乾燥などの情報)▽構造編(中大規模木造建築物で活用するための技術)―の3部構成となっている。このうち、製材編では、大径材からは美観と強度性能に優れた芯去り平角材が製材できること。また、構造編では、県産スギについて、梁せいを1〜2割増やせば、ベイマツの梁桁材から代替でき、スパン7メートルの張弦トラスが可能となるなど紹介する。
県内の民有林人工林の齢級別面積は現在、11齢級(51〜55年生)がピークで、11齢級以上が6割を超えるなど高齢級化が加速。こうした高齢級林分からは、末口径30センチ以上のいわゆる「大径材」と呼ばれる材が多く産出されるが、住宅の梁や桁などの構造材としての利用は進んでいないという。こうした状況を踏まえ、県木材研究所では、2015年度から挿し木品種のボカスギ大径材、18年度から実生品種であるタテヤマスギ系の大径材を構造材として利用するための技術開発を進めている。
協議会では、「林業・木材関係者、設計者、建築事業者向けに、分かりやすく取りまとめた。冊子を活用いただくことで、県産材をはじめとした木材利用促進の一助になれば」としている。
問い合わせは、県木材研究所(電話0766−56−2915)。