熊本県は、老朽化している消防学校の校舎・寄宿舎について、改築に向けた検討を開始する。2022年度予算案に基本構想・基本計画策定のための関係経費を盛り込んだ。4日の県議会本会議で野洋介議員の質問に対して、白石伸一総務部長が明らかにした。
益城町にある消防学校は、消防職員や消防団員が訓練する県内唯一の施設。熊本地震や令和2年7月豪雨災害の際は、県外からの応援職員の活動拠点や宿泊地としても使用された。建築後40年が経過し老朽化しているため、火災訓練施設や訓練塔などの訓練施設を優先して整備しているが、校舎や寄宿舎については国の有利な財政措置がなく後回しになっている。
野議員は、消防学校施設の現状について「寄宿舎は間仕切りのない6人相部屋で狭く、洗面所や洗濯機が男女兼用で時代にそぐわない。応援職員の活動拠点としても役割を担えるよう施設の充実が必要」と指摘した。更に、総務省が災害時の受入施設等を整備する場合に有利な地方債が適用できるよう制度化したことを取り上げ、県の対応をただした。
白石部長は「予定を前倒しして校舎・寄宿舎を整備することとし、整備に関する基本構想、基本計画を策定するため、今定例会に関係予算を提案している」と答弁。基本構想等の策定にあたっては、女性訓練生の受入環境に配慮した施設とし、更に大規模災害時の応援職員の災害対応拠点としても十分活用できるよう検討していく考えを示した。
野議員は「地震や豪雨を経験した熊本県が第1号として、他県の参考になるような素晴らしい施設を建ててもらいたい」と歓迎した。
県は現在、消防学校の教育訓練機能強化事業に取り組んでいる。22年度は、予算案に訓練塔整備等4億4100万円を計上し、合わせて限度額6億4000万円(23年度)の債務負担行為を設定している。
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