特別支援学校設置を求める声が伊佐市に続いて曽於地域からも上がった。志布志市に特別支援学校をつくる会(有馬りゑ代表)など10団体が県議会第1回定例会に陳情書を提出。背景には改修の国庫補助の算定基準が引き上げられたことなどにより機運が盛り上がっている。県では2022年度、教育環境の改善を図るため学識経験者等を含む教育環境改善検討委員会を設置して既存施設の改修や分置なども含めて検討することにしている。
曽於地域のうち志布志市に住む49人の障がいのある子供たちの現状は、県内の特別支援学校に通学。このうち、44人は牧之原養護学校(霧島市)に小中高校の計12年間、往復3時間のバスにより通っている。また、牧之原と鹿屋の養護学校は生徒数増加のため教室不足が懸念されている。
国の動きをみると、21年9月に特別支援学校の設置基準を公布。総則および学科に係る規定は22年度、編制並びに施設・設備に係る規定は23年度からそれぞれ施行される。
各学校設置者が行う特別支援学校の用に供する既存施設の改修等は、20〜24年度までを集中期間に定め、国庫補助の算定割合も3分の1から2分の1に引き上げられる。
同会は、地域に根差した安心して通える特別支援学校または分校の設置など、県全体の教育環境の改善や通学地域、バス路線等の見直しなどを求めている。
県教育委員会は今後、国が新たに制定した設置基準の趣旨を踏まえ、通学時間の課題も含め、県全体の教育環境の改善として、各学校の状況を勘案しながら、既存施設の改修や分置なども含めて検討。優先順位を定めて計画的に対応するため、学識経験者等で構成する委員会を設置する。当初予算案には委員会の運営費等に97万8000円を計上している。
なお、同様の陳情は伊佐市に新しい特別支援学校をつくる会(大谷暁子代表)が継続審査となっているほか、県議会からも国の設置基準を踏まえ「22年度までに計画策定を」と強く要望している。