日本工業経済新聞社(群馬)
2022/02/24
【群馬】県企業局 板倉NTの新エネ活用事業 22年度は測量と造成へ
県企業局は、板倉ニュータウンで進めている新エネルギー活用住宅モデル事業について、2022年度に分譲予定地1・4haの測量および造成工事に着手する。モデル事業として水素実証設備を備えた地域マイクログリッドを構築する事で、再生可能エネルギーの地産地消の実現と災害レジリエンスを高める住宅用地の分譲を促進し、電力の地産地消を目指す。当初予算案で事業費に1億1500万円を計上。23年度の工事費として6000万円を債務負担行為に設定した。
事業は新たに地域マイクログリッドを備えた住宅街区を整備・分譲するとともに、P2Gシステムによって水素を生成し同グリッド内の電力供給に活用する実証事業を行うために計画。
地域マイクログリッドは、太陽光発電設備を各住戸に設置するもの。余剰電力を住戸間融通または蓄電池に蓄電し、夜間や停電時の電力として住宅に供給する。
水素実証設備に用いられるP2Gシステムは、50年のカーボンニュートラル実現に向けて期待されている設備。太陽光発電および住宅エリアの余剰電力を活用して水を分解し、グリーン水素を製造。水素により発電した電力を住宅エリアに供給する。
30年までに新エネルギー活用住宅モデル事業として30区画以上の分譲開始を目標に掲げている。20年度にプロジェクトチームを設置しており、21年3月に調査業務を国際石油開発帝石(東京都港区)へ公募型プロポーザルで委託。概念設計として、板倉ニュータウンにおける地域マイクログリッド事業計画および水素利活用計画を作成している。
造成は1・4haの範囲に50区画程度を予定。22年度は分譲予定地の測量設計を完了させ、造成工事を年度末に発注する見込みとなる。23年度には第1期として半分程度の区画について分譲を予定している。第2期の分譲開始は未定。水素実証設備はこれから基本設計を委託。24年度には活用実証試験を開始し30年度に課題などを整理する。
板倉ニュータウンにおける地域マイクログリッド事業計画および水素利活用計画は、官民連携による事業化に向けた検討を行っている段階。概念設計をベースに、「再エネ電力の地産地消の実現」と「災害レジリエンスを高めた住宅団地の提供」を基本コンセプトに官民連携による事業化を目指す。事業参画の意向や事業の実施スキーム等に関してサウンディング型市場調査を実施して、計画に向けて調整する。水素エネルギーの利活用については、水素実証施設や地域マイクログリッド整備に向けた基本設計を早ければ年度末までに委託する方針。調査は3月22日から25日までの期間で行い、結果概要は5月ごろ公表する。