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建通新聞社(神奈川)
2022/02/24

【神奈川】川崎市 上下水道事業中期計画案策定

 川崎市は、「川崎市上下水道事業中期計画(2022〜25)」(案)を取りまとめた。中期計画の前半5年間(17〜21年度)の実施結果を評価した上で課題を改めて整理し、取り組みの見直しを図った。具体的な新規施策として、施設の浸水対策(耐水化)推進や停電対策の拡充、施設・管路の将来構想検討、水処理センター・ポンプ場の耐水化を加えた。工業用水道事業については将来の需要動向を踏まえた施設配置や施設規模など、更新などに向けての検討を進める。
 新たに追加・拡充する主な取り組みと計画期間の予定事業費は次の通り。
【水道基幹管路の強化】(拡充)
◇基幹管路の漏水事故・維持管理などによる断水リスクの軽減への対応として、施設間(配水池・配水塔)を結ぶ連絡管などの整備に加えて、今後の管路更新に向けた、基幹管路の二重化・配水区域間を結ぶネットワーク化の取り組みをさらに進める。25年度末に5路線完了。
◇予定事業費=65億円(水道事業)
【工業用水道基幹管路の強化】(拡充)
◇工業用水道基幹管路のバックアップ機能強化のための二重化・ネットワーク化=送水管の老朽化に伴う断水リスクや今後の送水管更新への対応として、長沢浄水場と生田浄水場を結ぶ浄水場連絡管および3本の送水管を結ぶ送水連絡管の整備を新たに実施。25年度末の整備率100%。
◇予定事業費=76億円(工業用水道事業)
【施設の停電対策・浸水対策】(新規追加)
◇近年の被災による停電では復旧に長時間を要したことから、重要施設などに設置している非常用自家発電設備の燃料タンクの増設や自家発電設備の更新に合わせた燃料タンクのさらなる増強を実施。25年度末で7施設完了。
◇浸水想定区域内に含まれる施設のうち浸水対策(耐水化)実施の優先度の高い施設について、被害想定の検討結果を踏まえ、被害の回避・低減を図る。また、対策手法については「浸水防止策(防水壁の設置など)」と「浸水低減対策(開口部の防水化など)」に分類し、各施設に適した手法で浸水対策(耐水化)を実施。
◇予定事業=13億円(工業用水道事業)※水道事業については「施設の計画的更新」(88億円)に含まれる
【施設・管路の将来構想】(新規追加)
◇水道事業は健全度調査などに基づく基幹管路の使用可能年数を検討し、将来の更新計画に反映する。水需要を見据えた適正な口径の管路網を構築するため、検討を実施する。基幹管路の更新を見据えたバックアップ機能の強化(二重化・ネットワーク化)を検討・実施する。
◇工業用水道の主要施設・管路の更新に当たっては、将来の需要動向を把握し、過剰な投資を防ぐ必要があるため、利用者と調整を図りながら、水需要を見据えた適正な施設規模へ更新するため、検討を行う。
◇予定事業費=2000万円(工業用水道事業)※水道事業については、「水道管路の耐震化」(449億円)に含まれる
【省エネルギー対策】(拡充)
◇自然流下による水道システムを継続。浄水場の統廃合に伴い未利用となった相模川上流の水源水量(一日当たり14・2万立方b)を活用し、神奈川県内広域水道企業団西長沢浄水場の取水の一部を下流から上流へ振り替え、導水ポンプが消費する電力を削減する取り組みを進める。
◇設備更新などに合わせて、エネルギー使用の合理化に関する法律の基準を満たしたトップランナー変圧器などを導入する。また、LED照明設備など省エネルギー機器の導入を進める。
【重点化地区・局地的な浸水箇所における浸水対策】(拡充)
◇重点化地区に位置付けた6地区(三沢川地区、土橋地区、京町・渡田地区、川崎駅東口周辺地区、大島地区、観音川地区)における対策の推進。局地的な浸水箇所における対策の推進(山王、宮内、諏訪、二子、宇奈根排水樋口周辺地域など)。市内全域の排水樋管ゲートにおける電動化および観測機器の設置など。25年度末の浸水対策実施率40・8%、排水樋管周辺地域の浸水対策累計実施数は7対策。
◇予定事業費=137億円(下水道事業)
【水処理センター・ポンプ場の耐水化】(新規追加)
◇被災時のリスクの大きさや設備の重要度に応じて段階的に耐水化を推進。対策としては、中高頻度によって起こりうる洪水や、既往最大降雨による内水の浸水などに対して機能を維持できるよう、防水扉の設置などを進める(※慶長型地震におる津波対策は18年度に対策済み)。25年度末の耐水化率は83・3%。
◇予定事業費=7億円(下水道事業) 提供:建通新聞社