建通新聞社(神奈川)
2022/02/16
【神奈川】川崎市 DX推進で電子契約導入
川崎市は、2022年度からスタートする「川崎市デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進プラン」(案)を策定した。重点取り組み事項の一つとして、「電子契約の導入」により、事業者が庁舎に出向かなくても契約行為(契約書や請け書の作成など)が可能となる環境の構築を目指す。22年度は電子契約導入に向けた制度改正を行い、23年3月に運用開始する。23年度は運用実績を踏まえ全庁への適用に向けて検討を行うとともに、事業者への周知、職員研修などを進める。電子契約の全庁適用は25年度を目標とする。
川崎市では現在、契約事務で契約当事者が記名押印する「紙の契約書」を作成している。20年度の契約案件(契約管理システムを利用した件数)は、工事が3037件、委託が4721件、6万2289件、合計7万0047件。このうち全庁の各部署で予算執行を起案し、契約手続きを契約課に依頼した契約課契約案件は、工事が648件、委託が400件、物品が4912件だった。
紙の契約書には、事業者と市によって、@契約書の作成・押印や持参・郵便などの作業により効果的・効率的な事務所を阻害しているA契約書の作成に伴う「印紙税」や、提出・返却にかかる「郵送料・交通費」が発生するB契約書の文書保管スペースを確保する負担と、災害時に契約書の破損の危険性がある―などの課題がある。
21年1月の法改正により自治体でも民間事業者が提供する電子署名の仕組みを使った「電子契約」が利用可能になったことから、川崎市でも課題解消のため電子契約を導入することになった。すでに21年7月から今年1月まで民間事業者のサービスを利用して「実証実験」を行うとともに、先行自治体の事例、民間事業者のサービス状況を調査した。
22年度はセキュリティーの確保、制度改正、庁内研修などに取り組み、併せてサービス事業者を選考。22年度末にはまず、契約課契約案件について、民間の電子契約サービスを利用した「電子契約の導入」を目指す。23年度以降は、電子契約の導入状況を見ながら制度設計を行うとともに、庁内への研修・マニュアルを整備し、全庁各部署で締結している「自所属契約」にも電子契約を導入する。ただ、さまざまな事情から電子契約の実施が難しい事業者については、現行通り紙の契約書とする。 提供:建通新聞社