白山市内で複数の企業による設備投資が始まる気配がある。同市内では先月、市街化区域への編入に関する県の決定告示が行われ、自治体による工業団地拡張などの環境整備も進む中、各社が成長戦略の実現に向けた準備を虎視眈々と進めている。
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都市計画区域区分の変更では、宮永地区で2・3ヘクタールが市街化区域に編入。交通の利便性が高いこの地域では、若松梱包運輸倉庫が取り扱う物流量の増加を受け、現工場の東側隣接地で用地の拡張を必要としている。
竹松地区では、建設機械や農業機械などのキャビン製造を手掛ける共和産業が受注量の増加に伴い、西側隣接地で工場増築や完成品の保管場所を整備したい考えだ。編入の対象面積は6・9ヘクタールとなる。同社については、これまでも定期的に工場を拡張している。
水澄地区2・2ヘクタールでは、焼却炉メーカーのアクトリーが増産体制を確保するため、同社北側隣接地を対象に用地を拡張し、新たな製造ラインを構築したい意向だ。村井地区の2・3ヘクタールでは、運輸業のセンコーが旺盛な取扱量に対応するため、同社北側隣接地で物流の拠点整備に向け、施工者選定作業を進めている。
このほか、番匠地区の3・8ヘクタールでは、工業系と住居系の土地利用が予定されている。住宅ゾーンが見込まれるほか、昨年夏に建設された三菱ふそうトラック・バスによる完成車両の設置スペースが必要となっている。
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組合施行による土地区画整理事業が計画されているのは、物流関連企業が集積する鹿島工業団地に隣接する石立地区。道路や公園などの公共施設を整備するほか、民間の工業需要に対応する。面積は7ヘクタールで事業期間は2025年度まで。石川工業団地の北西側に隣接する北島地区でも企業の進出意向などを踏まえ、11・2ヘクタールを拡張する。事業期間は26年度まで。
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コロナ禍もあって、今後の社会経済情勢は不安定感が否めないが、市は新年度以降、旭工業団地北部地区の土地区画整理事業など、産業拠点づくりを支援する取り組みを本格化させていく構えだ。各企業は業績を拡大すべく、工場の早期拡充に向け、農地転用など各種手続きを鋭意進めていくとみられる。