建通新聞社(神奈川)
2022/01/31
【神奈川】横浜市 22年度の施設整備費4030億円
横浜市が2022年度当初予算案に盛り込んだ施設等整備費の総額は、対前年度比6・4%減の4030億円となった。このうち一般会計分は1978億8300万円(対前年度比12・8%減)。防災・減災への対応や身近な道路や学校などの整備、公共施設の保全更新、旧上瀬谷通信施設跡地整備などに充てる。一般会計の総額は1兆9749億円で対前年度比マイナス1・6%だが、市道路建設事業団の債務整理に伴う資産関連支出を除いた実質的な予算額は1兆9553億円で、伸び率は1・0%だった。
予算の執行に当たり、公共工事に関しては週休2日制確保適用工事の拡大や発注・施工時期の平準化などに取り組み、市内建設業などの働き方改革や担い手の確保・育成を後押しする。デジタル技術の導入を中心に、生産性向上の推進やSDGs認証をはじめとした総合評価落札方式の評価対象を拡充し、公共工事の品質確保に取り組む。
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子どもたちの未来を創るまちづくり
「すべての子どもたちの未来を創るまちづくり」では、保育所を整備して1290人分の受け入れ枠を確保し、児童虐待対策で東部方面の児童相談所設置に向けた基本設計や南部児相の移転新築に着手する。より良い教育環境の確保には340億6500万円を確保し、汐見台小と都岡小、上菅田笹の丘小の建て替えや、老朽化した空調の改修、体育館への空調設置、エレベーターの設置などを継続する。
「誰もがいきいきと生涯活躍できるまちづくり」では、介護施設などの大規模改修に合わせた介護ロボットやICTの導入を支援し、障害児・者支援の充実で松風学園の再整備を継続。東部方面斎場の整備には4億2100万円を充て、実施設計を進め土木工事を開始する。
「Zero Carbon Yokohama」の実現に向けては43億0100万円を計上した。脱炭素を新たな成長戦略に位置付け、カーボンニュートラルポートの形成や水素サプライチェーンの構築などに、国や産業界と連携して取り組む。公共工事やESCO事業で30年までに公共施設のLED化100%を推進し、公共施設への太陽光発電設備などの設置可能性調査を実施する。
ごみ焼却工場の再整備には26億0100万円を計上。保土ケ谷工場再整備の基本設計と一部解体工事を行い、鶴見工場は、焼却炉改修を完了させる。
「力強い経済成長の実現とにぎわいがあふれるまちづくり」で、中小企業・小規模事業者の基礎的支援と脱炭素化・デジタル化推進に1482億4200万円を投じる。「新型コロナウイルス特別資金」の実施や「SDGsよこはま資金」で資金繰りを支援する。
商店街の振興では老朽化した街路灯の劣化状況調査や改修、撤去、防犯カメラなどハード整備の支援や、空き店舗解消支援などに2億8800万円を確保。
横浜美術館の改修や区民文化センターの整備を継続し、文化芸術創造都市を推進する。
「住まいと地域を大切にする持続可能な郊外部のまちづくり」では、地域交通の維持・充実に1億2800万円を充てる。バスネットワークの維持で連接バス導入の走行環境整備を行い、移動サービスの在り方の検討で実証実験や効果検証などに取り組む。
通学路の安全確保と踏切安全対策の推進には42億4700万円を計上。通学路の歩道設置やあんしんカラーベルト整備、交安施設の整備・補修、ハンプや狭さく設置などを検討する。八丁畷第1踏切は拡幅など安全対策を継続する。
郊外部のまちづくりの推進予算は44億5100万円。新綱島駅周辺の再開発推進や綱島駅東口駅前地区の再開発事業都市計画決定、瀬谷区二ツ橋北部地区の土地区画整理事業による三ツ境下草柳線の整備、郊外の大規模団地等再生への支援拡充や十日市場町周辺の脱炭素の取り組みなどを進める。
市営住宅の整備では、ひかりが丘住宅と岩井町住宅の大規模リフォーム、瀬戸橋住宅の建て替え、中村町住宅と洋光台住宅の解体、野庭住宅の建て替えに向けた検討と団地全体の再生への取り組みに総額50億6600万円を計上。
米軍施設の跡地利用では旧上瀬谷通信施設の土地区画整理で事業計画決定の手続きを進め、工事着手する。新たな交通の検討調査や農業振興の取り組み、公園整備に向けた手続きや設計を進めるため72億9400万円を計上した。
「成長と活力を生み出す都心・臨海部のまちづくり」では、山下ふ頭用地の造成などに23億9000万円、エキサイトよこはま22の推進に5億1000万円、関内・関外地区の活性化推進でメインアリーナ建設継続や道路の再整備、歩行者デッキの整備、水上交通社会実験などに11億4400万円を充てる。
国際園芸博覧会の推進
「花・緑・農・水の豊かな魅力あふれる都市づくり」で国際園芸博覧会の推進では会場建設費の補助や認知度向上の取り組みなどに3億5800万円、(仮称)舞岡町公園や小柴自然公園など大規模公園の整備継続には155億2500万円を計上した。
「災害に強い安全・安心な都市づくり」では河川改修や治水機能の確保に203億8700万円を投じる。帷子川、今井川、日野川などの整備や雨水調整池の土砂掘削、龍宮橋雨水幹線整備を推進し、崖地改善の対策工事費用の補助や崖地調査を行う。
新たな消防本部庁舎整備の継続や消防訓練センター大訓練場などの更新整備基本計画策定、消防団器具置場整備他に68億2800万円。特定建築物の耐震診断・改修やブロック塀改善、木造住宅の除却補助、泥亀釜利谷線や汐見台平戸線など延焼遮断帯を形成する都市計画道路の整備、全公共施設の天井脱落対策完了に向けた工事などに66億2700万円を、緊急輸送路等の整備や道路無電柱化には45億6000万円を充てる。
「市民生活と経済活動を支える都市づくり」では、23年5月の開業に向けた相鉄・東急直通線の工事や準備に81億4000万円。高速鉄道3号線延伸の協議や調査・設計、新駅設置に伴う交通基盤の検討や横浜環状鉄道など市の鉄道構想路線の検討、グリーンラインの6両化などには27億7400万円を充てる。
高度な流通加工機能のあるロジスティクス施設と大水深・高規格コンテナターミナルで構成する新本牧ふ頭の整備の継続と、本牧ふ頭D5コンテナターミナルの再整備には275億6200万円を投じる。クルーズ船寄港促進と臨海部のにぎわい創出に13億6500万円を計上し、新港ふ頭客船ターミナルとサークルウォークを結ぶ歩行者デッキの整備や赤レンガ倉庫の空調更新などを進める。 提供:建通新聞社