香川県は、県内の重要港湾である高松港・坂出港の長期構想案をまとめた。高松港と坂出港の20〜30年後の将来像を想定し、物流、交流、維持管理の総合的な方針を示すもので、高松港ではコンテナ貨物や大型クルーズ客船の受け入れ機能強化、フェリー岸壁の機能強化を、坂出港では大型貨物船の受け入れ機能強化や定期RORO船航路の維持・充実、エネルギー拠点としての機能強化を打ち出し、それぞれ実現に向けたハード、ソフト施策を示した。
長期構想の策定に向けて県は、隣接する両港の重要性を踏まえ、将来像をともに議論することが必要だと判断し、有識者や港湾関係者、国・県・市の行政機関で組織する「高松港・坂出港長期構想検討委員会」を設置。それぞれが得意分野を伸ばし、苦手分野は補う方針で施策の方向を検討してきた。
具体的な取り組みとして、高松港では▽朝日地区のコンテナターミナルのヤード拡張▽岸壁増深・延伸▽情報化技術の導入▽水深12b耐震強化岸壁の延伸▽香川県地震・津波対策海岸堤防整備計画の推進▽高松神戸航路のフェリー岸壁の耐震化▽離島航路のフェリー岸壁の耐震化▽本町踏切の暫定整備と対応策の検討▽民間活力を導入した中央ふ頭の再生▽MaaSによるサービスの一元化とDXによる業務改善―などを盛り込んだ。
坂出港では▽中長期的な海面処分場の設置と産業用地の確保▽産業用地に対する交通機能の強化▽船舶大型化に対応する大水深岸壁の整備▽ふ頭の再編(大水深岸壁整備後)▽香川県地震・津波対策海岸堤防整備計画の推進▽インフラストックの適正化に向けた施設の廃止・集約・再編▽MaaSによるサービスの一元化とDXによる業務改善―などを進める。
この長期構想を基に2022年度から、香川県が高松港の、坂出市が坂出港の10〜15年程度先を目標とする開発、利用、保全の方針を盛り込んだ港湾計画の改訂に着手する。両港の港湾計画は1997年度の改定後、22年が経過しており、社会経済情勢の変化や地域の実情を反映した内容に見直す。
提供:建通新聞社