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建設経済新聞社
2022/01/27

【京都】京都府庁敷地で進める3事業 危機管理センターは実施設計後に一部工事も 文化庁施設は令和4年12月完成へ

 京都府は、京都市上京区の京都府庁敷地で進める危機管理センター整備計画、京都に移転する文化庁の新行政棟・文化庁移転施設整備、府庁旧本館を再整備する旧本館ルネサンス事業について、令和4年度当初予算案に事業費を計上する。
 府の国土強靭化地域計画にも盛り込んだ危機管理センターの設置(常設化)について、1月24日開催の定例会見で西脇隆俊知事は「令和3年度は基本設計、令和4年度は実施設計と一部整備工事を始め、令和5年度の稼働に向けた整備を推進する」と見通しを示した。
 府は災害時に府庁敷地の職員福利厚生センター内に災害対策本部をその都度、設置し対応しているが、職員福利厚生センターは府庁2号館の北側にあり、対応する各部署から若干離れているため、迅速な設置に課題があった。そのため、災害対応機能の集約と受援機能の強化等のため、感染症禍でも対応できる危機管理センターの常設エリアを、危機管理部の入る府庁1号館の6階フロアに設置するとともに、政府現地対策本部等を危機管理センターの非常設エリアとして職員福利厚生センターの3階フロアに設置する計画。設置面積は1954・76u(このうち職員福利厚生センター556・98u)。危機管理センターの常設化により、迅速に初動体制を立ち上げられるようにする。
 常設エリアとなる1号館の6階フロアには、▽災害対策本部室(オペレーションルーム)▽災害対策本部事務局(執務室)▽本部長室▽災害対策本部会議室▽設備操作室▽受援調整会議室▽防災情報機器室▽災害対策本部会議室備品庫、災害対応資機材保管庫▽宿直室1、2を配置。非常設エリアとなる職員福利厚生センターの3階フロアには、政府現地対策本部等(国等から派遣された職員の活動スペース)を配置する。
 危機管理センターの主な機能は、○災害警戒・対策本部機能○気象災害情報の収集・分析機能○情報伝達・発信機能○応援受援拠点機能○災害対策要員支援機能。
 府は、令和3年1月に基本構想策定支援業務を日本無線関西支社(大阪市北区)と随意契約し進めた。その後、令和3年6月に基本設計業務を指名競争入札で開札し、企業組合一級建築士事務所ひと・まち設計(京都市山科区)が落札した。設計の工期は令和4年3月25日まで。
 令和4年度当初予算案には、危機管理センター整備費として1億円規模を計上。災害対応機能を集約し、対策本部会議室を常設化。総合防災情報システムを核とした情報通信システムを整備する。
 文化庁の京都移転については、新行政棟・文化庁移転施設整備費に35億5000万円規模を計上。令和4年12月の完成に向け施設整備を進め、5年3月中に文化庁業務の開始(中核組織の移転)を目指す。5月初旬の大型連休を活用しつつ、できるだけ速やかに移転を行う。
 文化庁の移転先となる旧京都府警察本部本館を保存・活用しつつ耐震改修するとともに、警察本部本館の北側に文化庁の一部機能と府庁3号館の機能を合築した新行政棟を増築する。
 新行政棟・文化庁移転施設整備工事の4工事は、主体工事が清水−岡野−公成特定建設工事JV、電気設備工事が光星−富士−中島特定建設工事JV、機械設備工事が中川−橋本−京栄特定建設工事JV、昇降機設備工事がフジテック。基本・実施設計は日本設計関西支社(大阪市中央区)。

文化庁の京都への移転契機に
隣接の府庁旧本館を再整備


 旧本館ルネサンス事業費に8000万円規模を計上。文化庁の京都移転を契機に、府庁旧本館を再整備する。
 定例会見で西脇知事は「文化庁が移転し、府庁旧本館と一体として空間を構成することになる。旧本館についても施設整備をすることにより、文化庁とともに、文化首都の玄関にふさわしいものにする」と述べた。
 府庁旧本館は、府庁敷地のほぼ中央に位置する。建物は煉瓦造一部石造2階建(一部地下室付)、延6099・35u(建築面積2822・43u)。明治37年12月に竣工し、明治38年1月に落成式が行われた。
 平成16年には国の重要文化財に指定されており、現役の官公庁建物としては日本最古のもの。
 デザインは後期ルネッサンスに属し、ネオバロックの要素も取り入れている。中庭を囲んだロの字型の建物。趣のある外観などから、映画やテレビの撮影などにも利用されている。
 設計者は京都府技師の松室重光氏で、文部技師の久留正道氏、京都府技師の一井九平氏も関わった。