京都府と京都市は20日、府市協調による安祥寺川及び四宮川の改修に係る政策協定を締結した。
京都市上京区の京都府庁で協定締結式を開催。京都府の西脇隆俊知事と京都市の門川大作市長が協定書に署名した。
西脇知事は「平成25年の台風18号で安祥寺川が溢水し、床上で48戸、床下で130戸が浸水し、地下鉄も4日間にわたって運休するなど大規模な被害が発生した。このことを踏まえ、発生直後から応急対策と抜本的な河川改修に府市協調で取り組んできた。ただ対策を進めている最中、昨年8月の豪雨でも安祥寺川が溢水し、京阪京津線と地下鉄がそれぞれ半日運休した。これを踏まえ、国の支援制度を最大限活用しながら、しかも河川改修のスピードアップを図ることについて、いい方法がないか、京都市と議論をしてきた。その結果、府市の連携を更に深め、しかも国の支援制度を最大限活用する観点から、事業主体を京都府とし、事業費、地方負担をできる限り削減する、完成を大幅に前倒しするという計画がまとまった。本日の政策協定により、新たな府市協調の事業が令和4年度からスタートする。京都市との連携を更に強化し、地域の安心安全が早く実現するように事業を進めていきたい」、門川市長は「画期的なことであり、感謝申しあげます」「昨年8月、再び安祥寺川が溢水し、京阪と地下鉄が運行停止になる事態となった。都市河川の改修の方法について、私たちも検討し、また私からも国費の確保、持続可能な河川改修ができるように、都市河川改修の枠組みについて、西脇知事に要望させていただいた。知事におかれましてはご検討いただき、何よりも安心安全の早期実現、事業期間の短縮、国費の獲得という政策協定が実現したことについて、敬意を表します」「これにより、地域の安心安全に加えて、地下鉄東西線の安定的な運行や安全性に大きく寄与し、市民、府民のサービス向上につながると考えています。また市は財政難で持続可能な財政の確立を目指し、行財政改革計画を作り取り組んでいるが、その中で府市協調による効率的、効果的な政策推進を記載している。今回、知事の英断で効率的、効果的な取組、まさに地方負担の最小化を図っていただいた。誠にありがたい」「京都市としても京都府に市職員を派遣し、事業の速やかな進捗が図られるように、1日も早く完成するように、あらゆる連携、協力を行っていきたい」「この安祥寺川、四宮川改修の取組は、これまで進めてきた府市協調の取組の新たなステージを展開していける象徴的なものとなる」と述べた。
安祥寺川改修を一体施工
地下トンネル整備に55億円
京都土木事務所に「推進室」設置
京都府 平成25年台風18号により、安祥寺川及び四宮川で浸水被害が発生したことを受け、両河川で河川改修を進める必要があり、ともに京都府管理河川だったが、平成28年当時の河川改修事業費が少なかったことから、同時に取り組むことが困難だったため、安祥寺川については、ネックとなっている上流工区の改修を京都市が実施、四宮川の改修を京都府が実施することについて、府と市が平成28年9月に合意した。安祥寺川の下流工区は、上流工区の完成後に府が実施する計画となっていた。
平成28年9月の合意内容は、京都市が安祥寺川(上流工区)の京阪下流からJR上流までの延長約200mを対象に、河川の流れをバイパスする地下トンネルの整備を行う(工期は平成30年度から約15年間(令和14年度頃))。京都府が安祥寺川(下流工区)の三条通下流から京阪下流までの延長約300mを対象に、河川の流れをバイパスする地下トンネルの整備を行う(工期は上流工区完成後約10年間(令和25年度頃))と、四宮川(整備計画区間)の山科川合流付近から起点までの延長約2000mを対象に、河道断面を拡大する河川改修を行う(工期は平成29年度から約30年間(令和28年度頃))。
今回の政策協定により、事業主体を京都府とし、国の支援制度(防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策)を最大限活用して、安祥寺川改修事業を推進。京都府京都土木事務所に安祥寺川・四宮川推進室(仮称)を設置する(令和4年4月設置見込み)。府と市から職員を配置し、推進室が両河川の事業を令和4年度から実施する。
政策協定の効果として、▽安祥寺川の改修完了時期を令和25年度頃から令和15年度頃に約10年前倒し▽国の支援制度を最大限活用するとともに、安祥寺川の河川改修を分割施工(約68億円)から一体施工(約55億円)とすることで総事業費を約13億円削減▽京都市の持つ都市基盤事業によって培った経験や基礎自治体として地域に精通する強みを安祥寺川と四宮川の改修に活用−を見込む。
政策協定締結後の安祥寺川の河川改修は、上流工区と下流工区を一体として府が施工。立坑が1本不要になるとともに、地下トンネルの掘削を一度に実施することができる(立坑2ヵ所、約500mの地下トンネル)。総事業費約55億円のうち、国費は約27億5000万円(50%)。
政策協定の目的は、流域の治水安全度の向上の早期実現。
対象となる河川改修事業の区間は、安祥寺川が府道四ノ宮四ツ塚線下流からJR東海道本線上流まで延長約500mの区間、四宮川が山科川への合流点から藤尾川合流点まで延長約2000mの区間。
事業主体は、国の支援制度を最大限活用して推進する観点から、府が主体となって実施。市は、政策協定締結後、河川法第16条の3第1項の規定に基づく「一級河川安祥寺川都市基盤河川改修事業」を終了。
京都府京都土木事務所に設置する安祥寺川・四宮川整備推進室(仮称)は、府市それぞれ2名ずつによる計4名で構成する。
推進室は、安祥寺川の河川改修事業の完了をもって解散する。推進室の解散後は、府が推進室の業務を承継する。