大阪市は、大阪・関西万博会場などへの鉄道アクセスとなる(仮称)夢洲駅〜コスモスクエア駅を結ぶ北港テクノポート線南ルート部分の整備で、インフラ部の事業費が96億円増額することを明らかにした。1月21日、2021年度第3回大阪市建設事業評価有識者会議を開き、臨港鉄道整備事業(北港テクノポート線)など3件の事業再評価を審議、いずれも事業継続を妥当とした。
今回が3回目の再評価となる臨港鉄道整備事業(北港テクノポート線)のうち、南ルート部分(夢洲駅〜コスモスクエア駅)延長3200bの区間で、事業計画時の想定に対し、実際の現場条件の違い、詳細設計や現地調査により新たに判明したことへの対応として「インフラ部の事業費を96億円増額」する必要があることを説明。インフラ部の事業費は事業計画時の250億円から346億円となる。
増額の主な内容として@夢洲駅本体工事に伴う仮設工の増強(地盤条件の変化)に15億円Aシールドマシンの1機増設に25億円Bシールド掘進工事で防爆対策の必要性判明と到達防護工法の変更に17億円Cシールド掘進工事で想定以上の地盤沈下に伴う地中障害物撤去の追加に17億円D夢咲トンネル区間で線路部排水工事施工方法の変更に7億円E夢洲駅出入り口の整備位置の変更(道路地下横断による延長増)に10億円F沈下の影響で既設夢咲トンネル区間の線路部中床版の一部撤去に5億円―の7項目を挙げた。
7項目の対策では、Bで掘削土の搬出方法を圧送方式、地盤改良工法を浸透型の薬液注入工法に変更、Eで身障者を交通広場へスムーズに誘導するため、観光外周道路を地下で横断するアクセスルート(通路部分の幅員34b分)を確保することなどで対応すると説明した。
同事業のうち、南ルート部分の進捗率は延長ベースで71・9%、事業費ベースで59・4%。24年度に夢洲駅までの開業、27年度に事業完成を見込む。夢洲内では現在、IRの誘致を目指すT期開発区域のまちづくりが具体的に進んでおり、万博会場予定地のU期の土地造成(埋め立て竣工)が完了、同じくV期の土地造成に着手している。
同会議ではこの他、長橋住宅地区改良事業、大阪港内公害防止対策事業の事業再評価を審議、どちらも事業継続を妥当とした。
提供:建通新聞社