京都市は、南区東九条の南岩本公園を東側の市有地に拡張するとともに全体を再整備する。公募設置管理制度(パークPFI)を導入し、民間事業者が収益施設を設置し、その収益を整備費に充て一体的に整備する。
昭和14年に開園した南岩本公園(南区東九条南岩本町他)は、九条河原町交差点から北東約150mに位置する。用途地域は近隣商業地域。
再整備では、東側に接する市有地を公園区域に含め拡張する工事を行う。今回導入するパークPFIは、現在の南岩本公園と再整備により拡張した箇所を含む約5070uを対象とする。
市は、パークPFI導入にあたり、1月14日に京都駅東南部エリアにおける市有地の活用に係る契約候補事業者選定委員会(委員長・長上深雪龍谷大学社会学部教授)を開催し、公募設置等指針案を審議。審査項目及び審査基準案は非公開で審議した。
選定委で概ね了承された公募設置等指針案によると、公園西側(約2000u)を公募対象公園施設及び特定公園施設の整備箇所とし、公園東側は市による整備箇所(広場、遊具、園地等)とする予定。なおパークPFI事業に先立ち、市が既存施設(遊具、トイレ、プール、防火水槽等)を撤去し整地する予定。
事業者は、公募対象公園施設(収益施設、駐車場等)と特定公園施設(外構、舗装広場、トイレ、駐輪場等)のほか、任意で利便増進施設(看板、広告塔等)を整備する。特定公園施設は整備完了後、市に無償で譲渡。
通常、都市公園における便益施設(飲食店、売店等)の建ぺい率は、公園面積の4%が上限になるが、公募設置管理制度の特例により公募対象公園施設の便益施設は10%を限度に上乗せが適用される(計14%)。建築面積は709u以下。
駐車場は公園利用に必要な規模とし、駐車場出入口は敷地北側の道路にのみ開口することを条件とする。
市が整備を行う施設との間に多目的な利用が可能な舗装広場(キッチンカー5台程度以上配置可能な規模)を整備、また公園出入口より舗装広場まで車両による進入が可能な幅員(概ね3m以上)や構造の通路も併せて整備するよう求める。通路も含めた舗装広場の構造は、公園コンクリート舗装又は透水性インターロッキングブロック舗装を標準とする。
トイレは、男女別及び多目的トイレを整備するよう求める。
駐輪場は、日常的な公園利用のほか、公募対象公園施設の種類・内容に対応した規模の駐輪場を整備するよう求める。
整備では、景観やユニバーサルデザインに配慮するよう求める。
公募対象公園施設の使用料の下限は月額440円/u。任意の利便増進施設の使用料の下限は月額440円/u。
公募対象公園施設、特定公園施設等に加え、市が整備する施設と合わせて、公園全体を一体的に管理運営することも可能。
公募設置等計画の認定の有効期間は、設置許可から20年とする(当初10年で、認定の有効期間内で1回の更新許可が可能)。
応募者の主な参加資格は、▽法人又は法人のグループに限る(ただし、公募対象公園施設の設計者は、一級建築士事務所の登録を行っている場合、個人事業主でも可)▽応募法人又は構成団体の一つ以上は、京都市の競争入札参加者又は京都市競争入札等取扱要綱第2条第1項各号に掲げる資格を有する▽応募法人又は構成団体の一つ以上は、近畿(京都府、大阪府、滋賀県、奈良県、兵庫県及び和歌山県)に本店、支店又は営業所を有する▽公募対象公園施設の設計業務を実施する法人等は、一級建築士事務所の登録▽特定公園施設の設計業務を実施する法人等は、建設コンサルタント登録(「造園部門」又は「都市計画及び地方計画部門」を行っていることとし、平成23年度から令和2年度までに都市公園の設計実績を有する▽公募対象公園施設の建設業務を実施する法人は、建築一式工事の特定建設業許可を受けている▽特定公園施設の建設業務を実施する法人は、平成23年度から令和2年度までに都市公園又は類似施設の建設工事実績を有する)−等。
今後の予定スケジュールによると、1月18日に公募設置等指針を発表し配布を開始。応募登録は1月24日から2月4日まで受け付け。公募設置等計画等の受付は3月7日から3月18日まで。公募設置等計画等の評価は3月28日を予定。その後、4月中旬頃に公募設置等予定者を選定する。
5月上旬頃に公募設置等計画の認定を行い、7月頃に基本協定を締結。令和5年10月から7年3月頃まで認定計画提出者による工事を行い、7年4月から再開園(供用開始)を予定し、事業終了は25年9月頃。
公園は令和5年4月から7年3月まで休園とする。
担当は、京都市都市計画局住宅室すまいまちづくり課事業第二担当。
なお都市計画局は、令和2年度に「東九条地区南岩本公園再整備等に係る測量及び基本設計業務委託」について、簡易公募型プロポーザルで空間創研(京都市下京区)を受託候補者に選定した。
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京都駅東南部エリアにおける市有地の活用を巡っては、八条河原町交差点の南東側の市有地の活用で、デジタルアート・体験型アートを手がけるアート集団のチームラボ鰍代表とする京都駅東南部エリアプロジェクト有限責任事業組合が事業者に決定。令和3年6月に市と基本協定を締結した。計画施設の床面積は7500〜9000uで、令和6年度中の開業を目指す。