建通新聞社(神奈川)
2022/01/13
【神奈川】玉川生コン協組 生コン価格を改定
玉川生コンクリート協同組合の宍戸啓昭理事長は12日、川崎市中原区内で開いた新年会のあいさつの中で、主要原材料や輸送コストなどの上昇を背景に、2022年6月1日引き合い受け付け分から生コン価格を改定すると発表した。現行販売希望価格にプラス3000円と大幅な値上げに踏み切る。また、22年度の需要想定について、端境期だった中央リニア新幹線の立て坑工事をはじめ、大型土木・建築工事の出荷が見込まれることから、21年度の大幅減(見込み)から反転、前年比112・9%の70万立方bに設定したことを報告した。
今回の販売価格の改定により、大口需要家向け販売希望価格を、目黒・世田谷で1立方b当たり1万7500円以上、川崎西部で同じく1立方b当たり1万7000円以上とする。今後、登録販売店が集まる会合(1月19日)で詳細を説明するとともに、需要家であるエンドユーザーにも理解を求めることにしている。
引き上げについて協組では、@年初からのセメントメーカーの大幅値上げA骨材価格・混和材価格の値上げB原油価格の高止まりによる物流費の大幅コストアップC働き方改革による工場・輸送の人件費の大幅増D低炭素コンクリート・環境配慮型コンクリートの出荷対応によるプラント改造コスト増E品質事故対応のための積み立て・保険料などの負担増―を理由に挙げている。
〜22年度出荷 「上向き」の見込み〜
併せて宍戸理事長は、21年度の協組の出荷数量の見通しについて、前年比88・5%の62万立方b(当初想定比81・6%)にとどまるとの見方を示した。東京外かく環状道路(外環道)の調布での陥没事故によるトンネル部の工事中断、中央リニア新幹線の生コン出荷の端境期、大型工事減少による新規受注の大幅な減少が影響した。
一方、22年度の需要想定については前年度の大幅減少から、反転して増加するとの見通しを示した。既契約物件では、「外環道は来期も出荷の見通しが立たない」としつつも、端境期だった中央リニア新幹線の工事で「等々力非常口・犬蔵工区・片平工区で出荷が見込まれる」とした。さらに、世田谷区庁舎・都営住宅の本格出荷、昨年11〜12月に受注したマンション関係の出荷も見込まれるという。この他、大型公共工事やマンション、物流倉庫などの案件が堅調に推移し、出荷は上向くとみている。
また、今後の協組としての課題も提示。「生コンの品質向上と安定供給は当然の使命」としつつ、万が一に備えた生コン賠償責任保険の更新・見直しに向けた作業にも着手する方針を示した。
この他、工場の休日増などを柱にした働き方改革、DX(デジタル・トランスフォーメーション)、SDGsへの対応など、業界として今まで以上の努力が必要だとも述べた。提供:建通新聞社