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北海道建設新聞社
2022/01/11

【北海道】20年後の建設業を展望 帯広工高環境土木科3年生

 18歳が思い描く2041年の建設業。技術革新で働き方が変わり、人間より機械の多い現場で技術者は、今と変わらない建設業の役割を果たす。北海道建設新聞社が帯広工高環境土木科の3年生40人を対象に実施した「20年後の建設業」に関するアンケートからの声だ。AIやICTの進歩で現場の少人数化、リモートワークの広がりを展望する意見は多く、建設業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進やデジタル人材の育成は、業界の今後を左右する重要テーマとなる。(帯広支社・太田 優駿記者)

 調査は12月中旬に実施。大半の生徒が内定を得ていて、建設業17人、コンサル9人、公務員7人で、進学は5人。内定・進学先は十勝管内が21人、管外の道内が14人、道外は3人となっている。

 就職先を選んだポイントは建設業で35%が「インターンや現場見学会の経験」と答え、「安定性」「勤務地」と続いた。内定後の家族の反応は9割が「喜んだ」と回答。「反対された」の声はなく、建設業では「驚かれた」という答えもあった。

■PCで機械を操作 1現場1人体制も

 生徒が38歳となる20年後にどんな仕事、働き方をしているかを聞くと、建設業内定者は「代理人として現場を動かしている」という声が多かった。作業内容はICTの進歩で建機の管理や確認が増えると考える。コンサル、公務員内定者はスマートフォンやタブレットの使用が業務の基本となり、リモートワークが多くなると見込んでいる。

 20年後の現場像は、機械化が進み、作業員数が大幅に減るという考えが多い。中には「パソコン1台で現場内の機械を操作する」「1現場1人体制が可能になる」という推測もあった。人が減ることで安全かつ効率的に現場が動き、3Kもなくなるのではとする生徒もいた。

 20年後の建設業の仕事を展望してもらうと、建設業内定者は「仕事の本質や目的は変わらない」という答えが多く占めた。このほか「現場に行く機会は減り、自宅や事務所の仕事が増える」「環境への配慮が今以上に重要となる」「日本の建設技術を外国や宇宙で発揮している」との考えもあった。

■加速する技術革新 想像超える業界へ

 結果を見た同科の岡本博教諭は、現場見学会や業界説明会でICTを使った測量や施工を学んだ経験が大きいと考える。「ユニークな意見もあったが、総じて未来の業界をきちんと捉えていて、決して夢物語ではない」と感じる。

 帯広二建会の萩原一宏代表幹事は「的を射た意見。私も同じ思いを持つ」と話す。現場の技術革新が進む見解について「土木はここ数年ですごく進歩している。今もICTに取り組む企業は多く、生徒が思い描く20年後にはもっと飛躍的な発展を遂げるだろう」とみている。

 今後については「回答の中に『楽しさ』というキーワードが多かった印象。業界として建設産業の楽しさをより掘り下げることが必要だ」と考える。

 20年前、本紙が取り上げた建設業のIT化の記事に「現場の技術者が携帯電話を持ったことで、日常業務が効率的になった」という一文があった。それが今やパソコン、スマホを当たり前に使い、ドローンを使って空撮や測量ができる時代になった。20年前にここまで想像できただろうか。41年の建設業が生徒の想像を上回る世界となっていても不思議ではない。