日本工業経済新聞社(群馬)
2022/01/07
【群馬】ダム統が相俣ダムで遠隔操作化に着手
国土交通省利根川ダム統合管理事務所は、みなかみ町にある相俣ダムの遠隔操作化に向けて、概略検討に着手する。自然災害などによって、現地のダム放流設備制御装置(ダムコン)を操作する人員の不足を想定したもの。年度内に簡易公募型プロポーザルに準じた方式で業務を公告。年度明けに業者選定を行う。成果を考慮して、遠隔操作化の手法などを定め、施工スケジュールなどをまとめる。同事務所の遠隔操作化は同ダムが初となる。
ゲリラ豪雨や線状降水帯などによる局地的な大雨や、それに伴う土砂災害などが全国的に頻発している。こうした状況下で、ダム管理支所までの参集経路が途絶するリスクを考慮し、全国のダムでダムコン遠隔操作化の検討が進む。同事務所が管理するダムも例外ではなく、相俣ダムの遠隔操作化に向けて、第一歩を踏み出す。
みなかみ町の相俣ダムは重力式コンクリートダムで、堤体積6万3000立方m。1959年に竣工した。主な放流設備は、径間5m×高さ13mの普通ローラーゲート2門。既設の無線通信装置は、多重無線通信装置が2組、超短波無線電話装置の移動局が5台となっている。
遠隔操作化は相俣ダム管理支所(みなかみ町相俣1493)までのアクセス道が土砂災害などの影響で寸断、現地の人員不足および派遣が困難な状況を想定する。管理支所にあるダムコンを利根川ダム統合管理事務所(前橋市元総社町593)で遠隔操作できる設備導入の検討を行う。無線や光ケーブルなどを用いて遠隔操作化することになりそう。単一の伝送方式ではなく、複数の方式を取り入れることにより、さまざまな状況に対応できる体制を整える考え。
設備導入に向けて、今回の業務で概略検討を行う。価格競争ではなく、簡易公募型プロポに準じた方式で業者選定を行う。3月までに公告し、年度明けに企業からの提案内容を審査するながれ。業務の履行期限は6カ月を想定する。
その後は同業務の成果を考慮して操作や伝送などの手法を固めていき、施工までのスケジュールなどを練ることとなる。具体的な設計については2022年度以降に別業務で委託するもよう。詳しい施工の時期はこれから決める。
同事務所が管理するダムは山間部でも奥地に位置するものが多く、災害への備えが課題となる。今回の相俣ダムが完了した後には、藤原ダムなど他施設でも同様の設備導入を進めていくことになりそう。