中津川市は、リニア岐阜県駅周辺エリアデザイン指針(デザインブック)案を公表した。広場2カ所や千旦林川親水公園などを整備する。現在パブリックコメントを募集しており、そこで寄せられた意見などを基に修正し、3月中に開かれる第6回リニア岐阜県駅周辺デザイン会議(木朗義委員長)で最終決定する方針だ。
リニア岐阜県駅は、木曽、三河、名古屋圏、首都圏、関西圏などへとつながる岐阜県の東の玄関口となることを期待されている。整備方針としては、コンパクトな駅機能、ニーズに対応した段階的な整備、イベントや災害に備えた多機能広場の整備などを掲げている。
主な施設として、駅前広場を北側と(北口駅前広場)と南側(中央駅前広場)に設ける他、駅を南北に貫通する自由通路、駅東方に千旦林川親水公園を整備する。
北口駅前広場では西部に立体駐車場を整備する他、自動運転などの技術革新を見据えた整備を想定し整備計画を立てる。
中央駅前広場では西部に平面駐車場を整備する他、備蓄倉庫の設置や非常用電源確保を図る。雨や日差しをよけるため、リニア岐阜県駅の南東部に位置する美乃坂本駅との間などをシェルター(歩廊屋根)で結ぶ。また恵那山の眺望や自然景観を重視した整備をする。
千旦林川では、21年3月に登録された中津川市かわまちづくり計画に基づき親水公園を整備する。川面に近づくことのできる階段状のテラスや、涼しげな木陰の広場、足を伸ばせる斜面の芝生広場などを整備する。また中央駅前広場・美乃坂本駅から千旦林川の対岸へと渡る人道橋を架ける。人道橋はシンボルとなるよう、意匠を凝らす。この他、河川沿いに小道を作り、回遊できる空間を確保する。レストランやカフェの導入も検討する。
中央駅前広場から伸びリニア岐阜県駅の出入り口となるエントランスロードは、左右対称に照明柱や植栽を配置するなど、岐阜の玄関口として映えるように整備する。
また利用者増加が想定される美乃坂本駅は駅舎を更新し、街道宿場町の屋根をモチーフとしたものにする。駅舎内部へとつながる階段は、上部に何重にも連続する屋根(ハイサイドライト)を設置する。
この他、駅北東部周辺に商業施設や宿泊施設を、北部にスーパーなど生活利便施設を誘致する。
整備に当たっては、中津川の蛭川石や大垣の大理石、多治見や土岐の磁器質タイル、飛騨の木材など、岐阜県産の資材を活用する。
デザイン案は当初20年度内にまとめる予定だったが、新型コロナウイルス感染症流行の影響で21年度に延期となっていた。
今後、リニア中央新幹線が開業するまでの整備完了を目指して設計や施工を進める。当初27年度開業の予定だったが、静岡工区が未着工のためJR東海の金子慎社長は延期を示唆している。
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建通新聞社