谷本正憲知事は4日、県庁で年頭記者会見を開き、今年度に着手した金沢城二の丸御殿「表向」の復元整備事業について、「儀礼や政務の場であった表向のうち、御殿ならではの装飾が見られると同時に、御殿の顔ともいえる玄関や式台周辺を第1期の整備範囲として現在、基本設計を進め、来年度には実施設計に移行させたい。並行して文化庁との協議を進め、順調に進めば2024(令和6)年度の工事着工を目指す」と述べた。
二の丸御殿の全体面積は約3200坪。うち、表向の主要部は約1000坪で、復元整備は3期ないし5期程度に分け、段階的に進めていく。谷本知事は「できるだけ早期に御殿の姿を見てもらうため、第1期の整備を進めながら並行して藩主への謁見の間であった竹の間が含まれる第2期整備範囲の調査、設計にも取り組む」との整備方針を示した。第1期復元整備の対象範囲(約240坪)は玄関、式台、虎の間、実検の間ほか。これまでの調査により玄関は総ケヤキ造り、床は春慶塗り、天井は折上格天井が用いられていたことが判明し、加賀百万石の栄華の象徴ともいえる御殿の玄関にふさわしい重厚かつ華麗な造りになっている。虎の間の復元整備イメージも示し、壁一面は総金箔張り、障壁画として絵師・岸駒(金沢出身)が手掛けた5匹の虎が虎の間に3匹、広縁の杉戸に2匹、描かれていたことも判明した。
谷本知事は情報発信にも積極的に取り組む考えを示し、既設の二の丸案内所を情報発信コーナーに改装するほか、五十間長屋の2階には展示コーナーを新設する。