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日本工業経済新聞社(群馬)
2021/12/28

【群馬】2021年プレイバック


群馬県政にとって2021年は建設産業への期待を高めた一年となった。3月に策定された県政の最上位計画である総合計画の基本計画では、災害レジリエンスbPを重要な政策の柱に位置付け。6月には山本知事が建設産業をエッセンシャルワーカーに含めることを決断、建設産業の持つ「地域の守り手」に対する期待があらわれたと言える。3月には西毛広域幹線道路の安中工区が完成し、県内の交通網整備も進められている。県政においては課題解決に向けたDX(デジタルトランスフォーメーション)の導入が加速する。群馬県政の2021年を振り返る。
【県政の動き】
県総合計画の基本計画に定めた7つの政策の柱。そのうちの一つが災害レジリエンスbPであり、政策の柱のうち2番目に位置付けられた。水害対策を中心に25年度までにソフト・ハードの両面で集中的な実施が掲げられている。県土整備分野だけでなく環境森林、農政と多くの部局にまたがり施策が展開される。
基本計画にはDXの積極活用も含まれており、11月には全庁での取り組みを示すぐんまDX加速化プログラムを策定。県土整備部もDXアクションとして25年度までの5年間の取り組みを定め、BIM/CIMの導入促進などさまざまな取り組みがこれから積極的に展開されることとなる。
20年から世界を揺るがす新型コロナウイルス感染症に対して、日常生活の維持に欠かせないエッセンシャルワーカーへの優先接種が進められた。県はそのエッセンシャルワーカーへ建設産業を全国に先駆けて位置付け。山本一太知事は建設業を「災害時に最前線で対応に当たる社会に欠かせないエッセンシャルワーカー」と期待を寄せており、災害対応にあたる建設業の重要性を広く市民にも伝えることとなった。
4月から11月まで前橋市と桐生市で豚熱(CSF)が4回にわたり発生、群馬県建設業協会と群馬県農村整備建設協会が殺処分後の対応に当たった。1月5日から受け付けが始まる22〜23年度の入札参加申請でも、豚熱をはじめとした特定家畜伝染病への対応により主観点に10点の加点を行うとしている。
【制度の動き】
建設産業の喫緊の課題である担い手確保に向けて各種取り組みが進められた。建設キャリアアップシステム(CCUS)は本格的な導入を目指し、総合評価落札方式の工事で評価点項目へ試行的に導入。活用により0・3点を加点するよう変更を行った。
ICT施工に関しては適応する工種を拡大。構造物工および法面工、地盤改良工、付帯構造物設置工を追加した。さらに、これまでは原則全工程でのICT活用が必要だった発注者指定型でも部分的な活用を認めるように変更している。
小規模ICT施工でも、活用の拡大を狙いに緩和を実施。3次元起工測量を任意とするよう変更を行った。
22〜23年度の入札参加申請では、豚熱など特定家畜伝染病への対応だけでなくCCUSへも10点を加点。さらに、新型コロナウイルスの影響で地域貢献やインターンシップなどの活動ができなかった場合を考慮し、実施回数や日数の緩和も行う。申請は年明け1月5日〜28日まで。
【事業の動き】
新しい県土整備プランが20年12月に策定され、プランに沿って事業が進められた。当初予算には災害レジリエンスbPの実現に向けた予算として218億円余りを投入。12月補正予算では防災・減災、国土強靱化の加速に向けて各部局合算で178億5900万円を追加している。
企業局発電課で水力発電所のリニューアルが進む。四万発電所(中之条町)は水車発電機や管路など各種設備の更新や改修を計画。メインとなる工事は年内にすべて公告が完了し、24年度までに各種工事を推進することとなる。
関根発電所は総事業費約60億円を投入し設備更新を行う。設計・施工一括での発注となり、22年2月25日を入札日として公告済み。25年度末の完了を目指す。
【完了した事業】
西毛広域幹線道路安中工区が3月25日に開通。県道下里見安中線から国道18号までがつながった。主軸交通網として群馬県の経済面、防災面と多様な役割の発揮に向けて現在も各工区で全線開通に向けて事業が進められている。
県道南新井前橋線では3月に3期工区、10月には2期工区が開通。合わせて2qの開通となり、上武道路から関越自動車道駒寄スマートIC、主要地方道高崎渋川線バイパスまでがつながった。4期工区として榛東村役場付近までの約2・5qでも事業が進められている。
また、1994年から整備が進められていた広域営農団地農道整備事業の榛名南麓2期地区榛名工区が6月に開通した。全線約14qがつながり、榛名地域の農業活性化に大きな期待が寄せられている。
学校事業では、桐生地区の高校再編が完了を迎えた。桐生高校と桐生女子高校が合わさった桐生高校、桐生南高校と桐生西高校が統合した桐生清桜高校が4月に誕生した。それぞれ、桐生高校と桐生西高校で増改築含めた改修を実施して整備。統合整備計画が策定された16年度から5年かけての完成となった。