17日に大阪府大阪市北区のビルで発生した火災を受け、総務省消防庁長官は全国の消防本部に対し、特定一階段等防火対象物について緊急点検・立ち入り検査の実施を要請した。県内では、950棟以上を対象に緊急点検・立ち入り検査が展開されており、2022年1月までに完了する見通しだ。(一社)千葉県消防設備協会の竹森久男会長(竹森電設梶jは「火災発生時に被害拡大を防ぐには、1つの避難路がふさがれても、もう一方を選択できる2方向避難が重要となる」との見解を示した上で、「建築基準法・消防法を遵守すれば必ずしも安全ではないということを念頭に、防火対策を講じる必要がある」と指摘する。
要請においては、特定一階段等防火対象物について緊急点検・立ち入り検査を実施した上で、防火管理の実施状況や消防用設備などの設置状況に係る消防法令違反がある場合には重点的に改善指導を図ることとした。特に避難経路となる階段などの施設に避難の支障となる物件が置かれている場合や、防火戸の閉鎖の支障となる物件が置かれている場合は、ただちに物件の除去を行わせるよう求めている。
特定一階段等防火対象物は、地階または3階以上の階に不特定多数の人が利用する店舗などがあり、屋外階段が無く、屋内階段が1か所の防火対象物を指す。
また、1974年の建築基準法施行令改正により、6階以上の建築物などに避難階または地上に通じる2か所以上の直通階段を設けるよう義務付けている(第121条第1項第6号)が、今回火災があった8階建てのビルは70年の建築であり、当該規定が適用されない。
なお、国土交通省は、緊急点検・立ち入り検査に併せ、建築基準法に基づく防火対策についても点検するよう都道府県に事務連絡を行った。
県内においては、千葉市(約300棟)、船橋市(111棟)、松戸市(110棟)、柏市(113棟)が100棟を超える特定一階段等防火対象物を抱えている。特定一階段等防火対象物のほか、類似建築物についても点検を行うとした市町村等もあり、点検対象棟数は、24日現在で950棟以上となっている。