熊本県内における2020年度(20年4月〜21年3月)の公共事業等発注金額は、19年度と比較し15%(484億円)多い3787億円となった。熊本地震に伴う復旧・復興工事の発注が最も活発だった16年度の3933億円をピークに、19年度まで3年連続で減少していたが、20年7月豪雨災害の復旧工事等により、再び増加に転じた。過去10年では、16年度、17年度(3885億円)に次いで3番目に多く、最も少ない15年度(2245億円)と比較すると69%のプラスとなる。当社取材の入札結果を集計した。
発注機関別では▽国787億円(19年度比24%増)▽独立行政法人等203億円(256%増)▽県1164億円(15%増)▽市町村1414億円(6%減)▽公共的団体219億円(121%増)。過去10年で2〜4番目の金額。市町村以外は全て19年度を上回っている。
国は、地震関係の復旧工事はほぼ終わったものの、熊本57号滝室坂トンネル西新設(二期)や立野ダム(二期)、熊本57号笹原トンネル新設などの構造物工事で19年度を152億円上回った。
県は、16年度から5年連続の1000億円超え。過去10年で最も多い17年度の1182億円に迫る。国と同様、地震関係の工事は減少したが、第二天草瀬戸大橋関係(国道324号地域連携推進改築)の発注が最盛期を迎え、全体を押し上げた。地域振興局等別でみると、トップは天草の100億円となり、地震以降4年連続だった阿蘇と入れ替わった。20年豪雨関係の復旧工事が始まった球磨と芦北など19年度を上回る一方で、菊池、熊本土木・熊本農政、阿蘇、八代はマイナス。
市町村は、19年度を僅かに下回ったものの、16年度から5年連続で1400億円以上と好調を維持した。益城町、宇土市、南関町の新庁舎建設工事や、熊本市の宅地液状化防止事業が目立つ。19年度の金額を上回ったのは26市町村。地震復旧工事で18年度に202億円まで著増していた益城町は、新庁舎の発注があっても19年度比42%減となった。
14市のうち19年度を上回ったのは9市。最も発注量の多い熊本市は4・5%増の456億円となり、再びプラスに転じた。荒尾市が著しく伸びているのは水道事業包括委託(約53億円)が含まれるため。新庁舎発注で19年度に膨れ上がっていた八代市と水俣市は例年並みの水準に戻った。
独立行政法人等が大きく伸びているのは、日本下水道事業団が、20年豪雨災害に伴い人吉浄水苑や雨水ポンプ場など設備関係の復旧工事を計51億円発注したため。公共的団体は、宇城広域連合の廃棄物処理施設整備・運営事業(139億円)で引き上げた。同事業を除けばマイナスとなる。
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