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建通新聞社四国
2021/12/27

【愛媛】山鳥坂ダム ダムサイトを上流に、32年度供用目指す

 国土交通省山鳥坂ダム工事事務所は、新たな地滑りの判明やこれに伴うダムサイトの精査などで2026年度完成を断念していた「山鳥坂ダム」について、ダムサイトの予定地を上流に変更し、32年度の完成を目指す考えを示した。工事用道路と基礎掘削を26年度に終え堤体工に着手。30〜32年度で試験湛水を実施し供用を開始する。総事業費は物価変動や働き方改革なども勘案し470億円程度膨らみ約1320億円になると試算した。
 12月20日の「山鳥坂ダム工事事務所 ダム事業費等監理委員会」(委員長・森脇亮愛媛大学教授)の21年度第2回会合で事務所が報告した。ダムサイトや事業費・工期の精査を行った結果、現サイト周辺の地滑り(ダムサイト右岸下流・見の越下流・見の越上流地滑り)を極力回避し、ダムの貯水容量を極力大きくするなどの条件を満たす場所として400bほど上流に配置することとした。
 貯水容量を同等にするにはダム天端高を上げる必要があるものの、付け替え県道や用地買収への影響が大きくなるなどの理由で天端高を現計画の161bと同じにすることを基本とする。総貯水量は290万立方b減の2200万立方bとなるが、洪水調節容量は同量を確保できるよう予備放流方式を採用する他、近年の激甚化する豪雨災害などを踏まえ事前放流も行うことで対応する。
 事業費は、物価変動で228・9億円増、消費税で45・4億円増、働き方改革(週休2日制導入など)で35・7億円増、工期延長で21・4億円増、地滑り対策の大規模化で114・4億円増、道路工事の現場条件に伴う工法の変更などで30・1億円増、自然由来の重金属などへの対応で14・1億円増の合計490億円の増額となる一方、付け替え市道の計画見直しで9・5億円減、新技術・新工法の活用などで10・5億円減のコスト縮減が可能とし合計20億円減額できるとした。
 事務所は今後、ダムサイト精査結果を現在変更手続き中の肱川河川整備計画に反映させるとともに、早期のダム本体工事着手を目指し、調査・設計など必要な作業を進める。
 山鳥坂ダムは大洲市肱川町山鳥坂(肱川水系河辺川)に計画する洪水調節を主目的とする重力式コンクリートダム。ダム施工計画外検討業務とダム事業計画外検討業務は建設技術研究所四国支社(高松市)、ダム本体設計総合評価業務はダム技術センター(東京都台東区)などが担当している。
提供:建通新聞社