建通新聞社(神奈川)
2021/12/21
【神奈川】横浜市 横浜観光MICE戦略ミーティング
横浜市文化観光局は、10年後に目指す観光MICEの姿を見据えた横浜市観光MICE戦略の策定を進めており、12月20日、「第1回横浜観光MICE戦略ミーティング」を開催した。会議には横浜商工会議所の岡田伸浩副会頭ら市内関係者団体や事業者の代表、有識者など18人が出席。全員がそれぞれの立場からの意見や思いを伝え、横浜経済の持続的な発展やSDGsの達成を目指すMICE戦略検討の目的を共有した。
横浜市の山中竹春市長は冒頭、「横浜が将来にわたり持続的に発展し続けるためには観光MICEの振興が極めて重要。10年後にあるべき姿や具体的な取り組みについて忌憚(きたん)のない意見を賜りたい」と挨拶した。会議の進め方については、2022年度中の観光MICE戦略の策定に向け「夏ごろまでに4回程度ミーティングを開催する。テーマごとに関係が深い委員と、必要に応じて新たな関係者にも参加を求める」とし、山下ふ頭の再開発は「このミーティングとは別に港湾局を中心に市民意見や事業者提案を募集し、委員会を立ち上げるなどして広く意見を聞きながら検討を進める予定」と説明した。
会議では、横浜市が観光MICEの現状を紹介し、キーポイントとして▽美しい街並み▽音楽施設、スポーツ施設の集積▽パシフィコ横浜▽文化・芸術活動の蓄積▽中華街、三渓園―などの存在を挙げた。
民間都市開発機構まちづくり支援部担当部長・東洋大学大学院客員教授の中村郁博氏が『横浜市観光MICE戦略における課題』として▽観光MICE戦略は経済政策であるとする基本的な考え方▽総論で求められるポイント▽各論の例―などを説明し、議論のたたき台とした。
続いて参加者が全員発言し、「訪問客が日帰りでは遊びきれない仕掛けづくりで連泊への誘導を」(横浜商工会議所岡田伸浩副会頭)、「スポーツホスピタリティ≠ナ上質の高額商品を開発したい。若者に人気なアーバンスポーツも取り込み将来性を」(STHJapan倉田知己シニアアドバイザー)、「音楽施設の集積を生かすとともに、コンサートの後の食事など楽しみを創出して回遊するミュージックハーバー≠ヨ」(ぴあ染谷誓一執行役員)、「羽田に近い優位性を生かした広域アクセスと、横浜での域内交通がポイント。さまざまな交通体系の整備を」(京浜急行電鉄原田一之社長)、「物流の港湾≠ナ観光をやりたい。水上タクシーなど水面のにぎわいや悪天候への対応策も」(横浜港振興協会藤木幸太副会長)、「倉庫群の景観を生かした文化拠点ができないか」(ニッセイ基礎研究所吉本光宏研究理事)、「三渓園、中華街をキラーコンテンツにターゲットの設定を」(横浜観光コンベンション・ビューロー小池恭一専務)―などさまざまな意見が出された。
ぜいたく(モノ)や世間の評価より、新しい経験(コト)など自分にとっての意義を重視するモダンラグジュアリー≠ネ富裕旅行者層をメインターゲットとする見方が多かった。
横浜市の林琢己副市長は「多様な意見をいただき大変有意義だ。ターゲットを明確にして観光MICE戦略を立て、実行していくことを意識して取り組む」と述べ、参加者に引き続きの協力を依頼した。
横浜観光MICE戦略ミーティングの出席者は次の通り(五十音順、敬称略)。
▽青木宏一郎(ホテル、ニューグランド常務取締役総支配人)▽新井英輔(関内・関外地区活性化協議会会長)▽荒木秀文(資生堂みらい開発研究所R&D戦略部長)▽遠藤克己(日本政府観光局理事)▽岡田伸浩(横浜商工会議所副会頭・観光政策委員会委員長)▽倉田知己(STHJapanシニアアドバイザー)▽小池恭一(横浜観光コンベンション・ビューロー専務理事)▽染谷誓一(ぴあ執行役員)▽武内紀子(日本コンベンション協会代表理事、オンライン)▽西村幸夫(國学院大学教授/東京大学名誉教授)▽額田樹子(横浜国際平和会議場社長)▽原田一之(京浜急行電鉄社長)▽藤木幸太(横浜港振興協会副会長)▽森下晶美(東洋大学国際観光学部教授)▽吉本光宏(ニッセイ基礎研究所研究理事)▽林琢己(横浜市副市長)▽神部浩(横浜市文化観光局長)▽中野裕也(横浜市港湾局長) 提供:建通新聞社