日本工業経済新聞社(群馬)
2021/12/17
【群馬】前橋市の木瀬中通り、環状交差点を導入へ
前橋市は木瀬中通線の改良事業で、環状交差点(ラウンドアバウト)を導入する方針を固めた。同事業は、木瀬中学校(小屋原町1811−1)周辺への歩道新設と同時に、車道拡幅による車両動線の再構築を図るもの。下長磯町の市道12−231号線など4路線が交差する地点を環状交差点に改良する方向で、地元との調整に入った。年度内に設計をまとめ、2022年度に用地買収へ着手、複数年で施工を進め、26年度の完了を目指す。環状交差点の採用は県内で2例目となる。
国道50号女屋町交差点から南へ向かう市道00−081号線は、主要地方道前橋館林線への抜け道として使用される路線となっている。木瀬中周辺を通過するルートにも関わらず歩道がなく、車道幅員5mと狭小な状況。地元や学校関係者からは、安全性向上を求める声が上がっていた。
こうした状況を受けて市は、木瀬中から国道方面に伸びる市道00−081号線への歩道新設を決定。また、車両の流れを中学校から逸らすことを目的に、同市道の北側および東西方向の市道12−231号線の車道拡幅を計画した。2路線を木瀬中通線として位置付け、改良に取り組む。
南北方向の市道00−081号線においては、木瀬中から北側、下長磯町ふれあい公園(下長磯町120)周辺までの約420mで幅3・5mの歩道新設を実施する。中学校から約300m地点、市道12−231号線との交差点までは車道幅を5mとする。同交差点から北および、市道12−231号線の約150mは2車線道路として改良、全幅10・25m、歩道幅3・5mとする。
市道12−231号線の西側にある交差点周辺は4路線が複雑に交わる状況。主要地方道までの車両動線や、安全性などを考慮し検討を行った結果、環状交差点(ラウンドアバウト)に白羽の矢が立った。
環状交差点は、道路がリング状になったもので、信号機を持たない。4カ所の出入を左折に統一し、一定方向のみに進む形状となる。市道12−231号線以外の3路線で拡幅など大規模な工事は計画されていない。各出入口などすり付け部のみ施工する方針。
環状交差点の導入により、出会い頭の事故や重大事故を抑制するといった効果が期待される。全国に140カ所程度に存在しており、前橋市では初。県内では、県県土整備部による主要地方道下仁田安中倉渕線の安中榛名駅入口交差点(安中市)に続き、2例目の事例となる。
21年度に事業化、初年度は当初予算と3月補正を合わせて5355万6000円を確保、測量設計業務を関東測量(前橋市)へ委託し、事業計画を練ってきた。業務の履行期限は22年3月22日となっている。
このほど地元への説明会を開催し、環状交差点を盛り込んだ整備プランを示したところ。現状では目立った反対意見はないという。今後も地元との調整を続ける。
22年度は用地買収に着手。予算状況や用地買収の進捗を考慮して初弾工の発注時期や内容などの検討を進める。早ければ同年度中にも側溝整備など簡易的な施工に移る可能性もある。23〜25年度に道路拡幅や交差点改良など本格的な工事に取り組むこととなる。事業完了は26年度を目標に設定している。