国土交通省中国地方整備局は、13日に開いた2021年度第3回事業評価監視委員会の審議結果を公表した。県の関係では「一般国道183号鍵掛峠道路」を取り上げ、事業継続を妥当と評価した。また「千代川直轄河川改修事業」に関して、同じく継続を妥当とする学識懇談会の対応方針が報告された。
高規格道路江府三次道路の一部を構成し、広島県庄原市と日南町を結ぶ延長12・0`の鍵掛峠道路は、線形不良の解消や災害時の代替路確保などを目的に05年度事業化。今年8月には延長3475bの県境トンネル工事が北・南とも落札決定するなど、25年度の開通を目指し事業を推進している。今年度末の推定進捗率は37%を見込み、残事業費は181億円。
16年の前回評価から5年が経ち、全体事業費が223億円から333億円に増加した。主な要因は、切土法面対策工の追加(23億円)、構造物支持力対策の追加(27億円)、脆弱な発生土の対策(23億円)などの地質リスクによる変更と、道路土工構造物基準等に沿った擁壁構造の見直し。延べ110億円の増額で、増加率は約49%となっている。
これに対し従来の3便益を26億円、またCVM(仮想市場法)に基づく災害等に対する不安感の解消便益を304億円と算出。物流効率化やCO2削減量、沿道環境の改善など道路の役割も加味して、事業の必要性に変化はないと判断。継続する方針を固めた。
千代川の継続も報告
B/C値は8・1に
千代川は、美成地区での廃棄物処理追加、現地状況による河床掘削土量の増加を踏まえ、河川整備計画の事業費が見直された。計画策定にあたり今年1月、学識経験者で構成する「千代川の今後を考える学識懇談会」(道上正䂓座長)を設置。河川法の規定に則り、事業評価監視委に代わって審議した結果を報告した。
総事業費は17年の前回評価から8億円増加し110億円に。一方で基準年の更新や資産データ・資産評価単価の更新に伴って、費用対効果(総便益/総費用)は8・0から8・1に向上。引き続き円滑な事業進捗が見込まれる。
日刊建設工業新聞