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北陸工業新聞社
2021/12/01

【富山】とやま新機軸/ビジョン共有し振興目指す/富山県農林水産部長堀口正氏/「スマート農業など推進」

 全国屈指の水田率、ほ場整備率などのもと、「県内では農業産出額の約7割を米が占め、稲作に特化した農業形態。農地集積、集落営農の法人化などを推進してきた」と担い手の育成、経営強化に注力。ほ場の大区画化(標準1ヘクタール)・汎用化に向けて、「県営農地整備事業を53地区で進めているほか、受益面積612ヘクタールの国営農地再編整備事業水橋地区が新規着手となった」と説明、次世代に引き継ぐ優良な生産基盤を整備していく。農業・農村振興計画は年度内に改定する予定。県土の3分の2を占めるとやまの森。「人工林の約9割が本格的な利用期を迎え、県産材の需要拡大と安定供給体制の整備に取り組んでいる」とし、森林資源の循環利用を促進する。水と緑の森づくり税を活用して、里山林の整備など県民参加による多様な森づくりを継続していく。富山湾沿岸では定置網漁が盛んで、「つくり育てる漁業として栽培漁業の取り組みも加速化させる」と説く。
 新田県政では「稼げる農林水産業」の実現を打ち出している。富山米新品種「富富富」をはじめ特色ある農林水産物が豊富であり、「生産・販売戦略を立て、おいしさ、魅力を感じてもらうことが大事」と捉え、「富山の食」のブランド力向上を図る。販路の開拓・拡大、需要喚起として、新幹線で今朝獲れ鮮魚を当日中に首都圏へ輸送するモデル事業のほか、ネット販売支援、地産地消飲食店利用ポイント制度などを実施している。農業従事者の高齢化や担い手不足が課題となっている。ロボットトラクタや農業用ドローン、自動給水栓、収量コンバインなどスマート農機による実証プロジェクトが行われており、「ロボットやIoTなど先端技術を活用し、生産性の向上や作業の省力化によって所得増大につなげ、若者にも魅力ある産業にしたい」とスマート農業のさらなる普及・定着に努める。
 近年は米需要の減少に加え、コロナ禍による外食産業の低迷などにより農林水産物の消費が落ち込んでおり、「農林漁業者を応援するための各種事業を総合的に展開していく」と強調。多様なニーズに的確に対応するとともに、「将来に展望が持てるようなビジョンも示さないといけない。農林漁業者が希望を持って意欲的に取り組んでいける環境づくりを行う」と指摘した上で、「行政のみでつくるのではなく、現場の実情を踏まえて農林漁業者の方と将来像を描き、ビジョンを共有しながら、一緒になって進めていく」との方針を示し、農林水産業の振興を目指す。
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 ほりぐち・ただし 千葉大学法経学部卒。1986年入庁し、広報、農林水産企画、財政の課長、商工労働部次長などを経て、2020年4月から現職。58歳。現場のニーズや意見を十分に把握し、組織として事業の推進にあたる。

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