羽咋市は、JR羽咋駅前の旧商業施設マルシェ跡地で計画する「(仮称)羽咋駅周辺賑わい交流拠点実施設計・運営事業」の公募型プロポーザルで、エステック不動産投資顧問(金沢市)を代表企業とするグループを最優秀提案者に選定した。建物は立体的につながる公園をイメージした4階建てで、駅前の顔となる施設としての機能導入や、DX(デジタルトランスフォーメーション)技術を用いた運営方策などの提案が評価された。
市所有の「交流・広場機能」(公共部分)に関するDO(設計と維持管理・運営一括化)と、「商業機能」(民間部分)における公有財産(PRE)活用方式による官民連携事業となる。同グループの構成員は五井建築研究所(設計・工事監理)、オカモト(維持管理・運営)、エステック不動産(民間収益事業)の3社。協力企業としてカナショクとアイビックス北陸が加わる。
事業者選定委員会(委員長・高山純一金沢大学名誉教授)で、事業の実施体制や設計コンセプト、施設の機能配置、維持管理・運営の取り組み方針、民間部分の事業計画などの項目を審査し選定した。エステックグループの総合評価点は703・0(内容点503・0、価格点200・0)。応募は同グループだけだった。
提案では、公共部分の1階に図書・学習スペースとドトールコーヒーのカフェ、2階に屋内公園とシェアキッチン、3階に会議室や工作室、eスポーツのスペース、4階に各種イベント、軽運動用のシェアスペースが入る。民間部分には、無人店舗「スマートストア」とフィットネスジムが入居する。
建物の各階テラスには段状に積み重なった緑化を設け、棚田や森をイメージした自然景観を創出する。木材を積極的に活用するとともに、水平屋根をセットバックすることで圧迫感を軽減させる。歩行者通路と公共、民間両施設、屋外広場とに一体感を持たせた配置とする。
施設全体はバリアフリー環境を取り入れたユニバーサルデザインとする。最上階屋根へのソーラーパネル設置や、井戸水の散水栓、融雪に雑用水を利用するなど環境にも配慮。建築環境・省エネルギー機構の建築環境総合性能評価システム「CASBEE(キャスビー)」のAランク以上の認証も取得する。
さらに、顔認証システムを導入した市民サービスの実証実験や、県内大学や医療機関と連携したセミナー・イベントの実施などを予定している。
市は年内に事業者と基本協定、個別契約を締結し、設計に着手する予定で、2024年夏の開業を目指す。交流・広場機能に関しては、設計完了後、市が工事を別途発注する。