県企業局の電気事業について県は22日、引き続き民間事業者への譲渡を検討する方針を決めた。将来的に電気事業の収益悪化も見込まれる中、譲渡要件は基本的に各設備の簿価以上の価格を想定する。
同日、県有施設・資産有効活用戦略会議(座長・亀井一賀副知事)を開いて方針を確認した。
各発電所の多くの主要機器は、今後10年から20年以内にかけて老朽化する時期に差し掛かる。固定価格買い取り制度(FIT)が適用されない発電施設もあり、電力需給の状況によって売電単価が低迷すれば、厳しい採算性も懸念される。
他都道府県の事例では、簿価を下回る金額で譲渡するケースもあったが、会議では「県が特別損失を出してまで譲渡とはならないのではないか」「簿価であっても将来、(民間事業者に)メリットを感じてもらえる仕組みが必要」(企業局)と、簿価割れでの譲渡には否定的な意見が出された。
このため毎年度の純利益なども考慮し、簿価以上での民間譲渡を検討する方向性を決めた。20年度末時点の各設備の簿価は次の通り。
▼水力発電=117億円(新幡郷発電所30億5000万円、佐治発電所13億7000万円など)▼風力発電=3億1000万円(鳥取放牧場発電所)▼太陽光発電=22億1000万円(鳥取空港発電所6億1000万円、天神浄化センター発電所5億3000万円など)
日刊建設工業新聞