農林水産省は、3845haを対象とした「国営総合農地防災事業(手賀沼地区)」を実施する。農地湛水被害の防止と農業用水の安定供給を図るため、排水・揚水機能が低下している農業用用排水施設の改修と耐震化を行う。総事業費400億円、関連事業費241億円を見込んでおり、事業工期は2021年度から32年度までを予定している。事業の実施に当たり、2月25日から土地改良法に基づく手続きを行い、11月12日をもって事業計画が確定した。今後は関東農政局手賀沼農地防災事業所が中心となって、手賀排水機場の改修を実施していく。
手賀沼地区は1946年から68年に実施した国営手賀沼干拓土地改良事業により、水田が造成されるとともに揚・排水機場などの基幹農業水利施設が整備された。施設の完成から50年以上が経過し、排水機場では排水能力不足により農地の湛水被害、揚水機場では揚水能力不足による安定した農業用水の取水ができない状況にある。また、干拓事業により造成された施設は必要な耐震性を有していないため、大規模地震等により損壊した場合、排水機能等が失われ、地域や農地に甚大な被害を及ぼす可能性がある。
このため、農業用用排水施設の改修と耐震化対策を実施することで、農地の湛水被害防止と安定した農業用水の確保を図る。
整備施設の名称および工事概要は次の通り。
▽手賀排水機場=機場の新設・撤去、排水ポンプの増強(40m3/秒から62m3/秒)▽手賀第二揚排水機場=機場の新設・撤去、排水能力の強化(10m3/秒)▽泉揚水機場=機場の新設・撤去、吐水槽の新設(2・1m3/秒から2・5m3/秒)▽都部新田揚水機場=機場の新設・撤去・位置変更、吐水槽の新設(0・9m3/秒から1・1m3/秒)▽小森揚水機場=機場の新設・撤去・位置変更、吐水槽の新設(1・1m3/秒から1・3m3/秒)▽金山落水路=排水路2・5qの拡幅、堤防のかさ上げ(16・3m3/秒から31・2m3/秒)▽手賀沼調節水門=撤去