京都府は10日、中丹管内における流域治水プロジェクトについて、第1弾となる伊佐津川、高野川水系の最終とりまとめ案を明らかにした。
近年、毎年のように全国各地で自然災害が頻発し、激甚化する中、「これまでの河川管理者等による取組だけでなく、集水域から氾濫域にわたる流域のあらゆる関係者が主体的に取組む社会の構築が必要」(国土交通省防災・減災対策本部会議)との考えから、流域治水を推進。一級水系では、国、流域自治体、企業等からなる流域治水協議会で議論を進め、今年3月に全国109全ての一級水系等で流域のあらゆる関係者が取り組む防災対策の全体像を示した流域治水プロジェクトを策定し、全国一斉に公表した。
二級河川について、京都府は、中丹管内の伊佐津川、高野川、丹後管内の大手川、野田川、竹野川、福田川、佐濃谷川、川上谷川の計8水系の流域治水プロジェクトをまとめる。
中丹管内の伊佐津川、高野川の最終とりまとめ案は10日開催の第3回中丹管内二級河川流域治水協議会に報告した。
主な内容をみると、伊佐津川について、京都府中丹広域振興局建設部は、伊佐津川河口部の河道掘削及び護岸整備を実施中。河口部の完了後、伊佐津川の市街地部の流下能力が不足している区間の河道掘削や堤防整備及び米田川の河道拡幅等の河川整備の実施を予定。
京都府水産事務所は、水産物供給基盤機能保全事業京都府地区(舞鶴漁港)として、漁船の航行・係留の安全を確保するとともに、伊佐津川河口部の流下能力を向上させるため、舞鶴漁港の伊佐津川の河口に位置する泊地の浚渫を実施。
京都府中丹広域振興局農林商工部は、綾部市於与岐町で予防治山事業、舞鶴市今田で保安林整備事業、舞鶴市上根で流木等流出防止対策事業を実施。
また舞鶴市岸谷、綾部市於与岐町ほかで森林整備事業による間伐等を実施。
高野川については、京都府中丹広域振興局建設部、京都府港湾局、舞鶴市が連携。舞鶴西市街地において、府が河川事業と港湾事業、市が内水対策を連携して行う総合的な治水対策を実施。
府の河川改修は、全体計画1・5qのうち、河口部から大手川合流点までの0・61qの区間について、令和元年度から着手し、概ね5年間での完了を目指す。
舞鶴市は、雨水ポンプ場整備を実施(@大手ポンプ場6・5m3/sが令和元年度〜4年度A静渓ポンプ場5・5m3/sが令和3年度〜5年度B寺内ポンプ場1・1m3/sが令和4年度〜5年度C竹屋ポンプ場0・5m3/sが令和2年度〜3年度D松陰ポンプ場0・4m3/sが令和3年度〜4年度。CDは排水ポンプ車による)。
京都府中丹広域振興局農林商工部は、舞鶴市高野由里で予防治山事業、舞鶴市城屋で保安林危険木解消事業を実施。
また舞鶴市城屋ほかで森林整備事業による間伐等を実施。
舞鶴市は、伊佐津川及び高野川において、ハード対策で解消しきれない浸水被害について、住宅等の地盤の嵩上げの費用を一部助成。
京都府建設交通部は、伊佐津川及び高野川において、危機管理型水位計・監視カメラ等を設置。府のホームページで住民への情報提供を行っている。また排水ポンプ車により、常設の排水施設がない河川等で機動的に湛水を排除。
今後のスケジュールによると、中丹・丹後において、第2弾は14水系(中丹管内は河辺川、志楽川、祖母谷川、与保呂川、福井川、丹後管内は大雲川、神子川、筒川、吉野川、宇川、新樋越川、木津川、栃谷川、久美谷川)程度を対象に流域治水プロジェクトの策定に着手し、令和4年度第2四半期の策定・公表を目指す。
第3弾も14水系程度を対象に流域治水プロジェクトの策定に令和4年度第2四半期から着手し、令和5年度第1四半期の策定・公表を目指す。