物部川流域の自治体や団体、学識経験者などで構成する物部川濁水対策検討会(会長=笹原克夫高知大学教授)は10月27日、高知市で会合を開き、濁水長期化解消に向け、永瀬ダム貯水池内での洪水直後の高濁度を早期に排出するための抜本的な対策や、計画を超える速度で進行している永瀬ダムの堆砂問題などについて協議を進め、2022年3月をめどに方針を取りまとめることで一致した。
物部川水系では、20年度に実施した流域治水協議会の中で、濁水の長期化を解消するための対策が必要との意見があり、総合的な土砂管理推進の必要性も確認していた。
論点の一つに挙げているのが、上流域にある永瀬ダム貯水池に堆積する土砂の量の増加。近年頻発する豪雨による山腹崩壊などの影響によるもので、年間平均の土砂流入量22万立方bに対し、21年度の掘削計画は約8万立方bで、流入量が多い状態となっている。そのため、今後他ダムの先進事例を参考に対策工法を検討する。
また豪雨などの出水により発生した濁水は、永瀬ダムより上流側は早期に収束するが、永瀬ダムに長期間滞留し、下流河道で長期化しているという課題もある。アユへの影響も報告されており、ダムから高濁度水を早期に排出するための抜本的な対策を検討する。
総合的な土砂管理も推進する。上流からの土砂供給が減少しており、河川・海岸の現状把握に向けた調査・検討を実施する。
これらの対策と合わせて、気候変動に対応するための治水対策や、河川環境保護に向け各期間で必要な流量が確保できるよう総合的な水管理を検討する。
同検討会では、今後現地視察や課題解決に向けた各委員からの意見を取りまとめ、22年3月までに取組方針をまとめる考えだ。
提供:建通新聞社