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北陸工業新聞社
2021/10/27

【福井】建設マスター受賞者インタビュー/藤田社寺建設の北嶋聡さん/奈良の平城京復原に全力/やり甲斐と魅力、現場から発信/21年度優秀施工者国土交通大臣顕彰

 藤田社寺建設(永平寺町寺本)の北嶋聡さんが、21年度の国土交通大臣顕彰、大工の建設マスターに輝いた。
 技能と技術に優れ、後進の指導と育成にも情熱を注ぐなど、多大な貢献が評価された。
 今の気持ちは、関係者に心から感謝し「自分の仕事を、ちゃんと見てくれているんだな」と、客観的な評価に自信を深めている。
 現在は、奈良の平城京、大極殿朱雀門の南門復原の棟梁として、丸4年。いよいよ来春、竣工を迎える。1300年余も昔の建物を再現する貴重な現場で、「当時の作り方から、道具まで、すべてが勉強」と言う。
 大変だが、充実感に満ち溢れ、「規模が大きく、面白くてしかたがない」と、やりがい十分。建築の魅力を益々実感する日々だ。
 目標は「いい建物と、ほめられるより、北嶋らしいね、と言われたい」と掲げる。「自分は特別能力が高いわけではない。あっても、ほんの少し。その差を一つでも多く」と、努力を重ねる。「かりにその差が、100個や1000個にまで増えたなら、大きな差に」と、より高みを目指す。
 要は「細かい所にも、決して手を抜かないこと」と、自分を鼓舞し、妥協は全くない。
 後進にむけては、「まずは、やってみること。不安は、みな同じ。やらないと、いつまでたっても出来ないし、楽しみもわからない」と、厳しくも温かい。また、「上手の仕事をよく見ること」と、自らの経験を披露。「完成品に等しく、作業の段取り(過程)が大切。どう工夫し、早くて、奇麗に仕上げているのか」。興味関心を常に持ち、自分の目で、一つひとつ、確かめてほしいと願う。
 抱負は、「いずれの現場からも自分なりの反省点があり、次の現場に生かしたい」と、向上心は尽きない。

きたじま・さとる
45歳 福井市在住
文化財建造物木工技能者

hokuriku