北陸電気工事(本店・富山市小中、矢野茂代表取締役社長)は23日、富山市東黒牧の同社能力開発センターで、2021年度「新入社員技能発表会」を開いた。
例年開催しているもので、新入社員が研修の成果を継続して披露することにより、「もの造りの知恵と工夫」を同社のDNAとして、後世に伝えていくのが目的。今年の新入社員は計57名(技術系48名、管理部門5名、営業部門4名 事務系は配属済み)。
この日は、新入社員やその父兄、高校生とその保護者、同社関係者ら247人が参加した。新入社員は、4月から7カ月間に及ぶ同センターでの研修の成長ぶりを発表。併せて、12月に東京都で行われる第59回「技能五輪全国大会」に出場する若手社員4名が卓越した技術を披露した。
開会式で同社技術開発センターの北山克明所長が、「今年のテーマはいろんなことを体験してみよう。各ブースに行き、いろんな体験をしてほしい」と開会を宣言。
続いて、矢野社長があいさつし「発表会も今年で6回目。高校生から北陸電工の素晴らしい技術と技能を体験したいとの意見があり、今年度は空間換気の改善実験、配電線工事用ロボット・アシストアームの操作、3次元CADの操作、安全体感施設VRコーナー等を実際に体験していただきたい」と述べた上で、「当社は、クラウド・IoT・AIなどの先進的なデジタル技術を活用し、将来にわたって付加価値の高い技術力を進化・発展させていかなければならない。また、ものづくりの知恵と工夫は、当社のDNAとして後輩たちに伝えなければいけない。新入社員が磨いてきた技術力は、当社で働く誇りと決意につながる。会社にとっても生産性はもちろん、施工力、営業力、コスト競争力の向上につながり、組織としての力に必ずつながる。新入社員の皆さんは、精一杯技術力を発揮してほしい」と話した。
新入社員を代表して、配電部門の堀井優月さんが「安全の誓い」を力強く読み上げ、全員で唱和した。
発表会は配電、送変電、空調管、内線、外線の5部門ごとに行われ、新入社員が研修で培った技能を見学者に実演。配電部門では、配電線工事の実技訓練を披露。出展したアシストアームでは、高校生が操作を体験する姿も見られた。
送変電部門は、送電線圧縮作業と宙乗りの電線点検の作業状況を初めて公開。新技術である地上レーザーの現場適用事例も紹介した。空調管部門は、「換気の悪い密閉空間」の改善をテーマとして、実際にスモークを発生させ、実験する研究成果を発表。
内線部門は、自主検査で使用する測定機器など紹介したほか、参加者に「3D CAD技術」を体験してもらった。外線部門は、光ケーブル接続・測定を説明。
一方、技能五輪全国大会(電工部門・情報ネットワーク施工部門)に出場する若手4選手による公開練習コーナーでは、無駄な動きのない卓越した技術を披露し、見学者の注目を集めた。
特設のVR装置による安全体感施設では、高所墜落事故やガス漏れ爆発事故に加え、今回から新たに開口部墜落事故、はしご転落事故が追加され、来場者が実際に体験していた。Eリーグ北陸(送配電工事会社のPR団体)、パネル展示コーナーなども設けた。
閉会式では、津川清範常務取締役が、「課題に取り組む成長した姿を拝見し、頼もしく感じている。現場は決して甘くないが、知識と技能を基に安全第一で作業をしてほしい。北陸電工の社員として、自覚と自身を持ってチャレンジすることを期待している」とあいさつした。この日は、会場入口での検温やマスク着用、3密への配慮など、コロナ対策に万全を期し行われた。
DX化を強力に推進/技術開発C、4月運用へ
また、この日は、同センター隣接地で建設中の「北陸電気工事(株)技術開発センター新築工事」の説明会も行われた。
技術開発センターの北山克明所長が計画概要を解説。場所は、同社能力開発センター(職業能力開発校)に隣接する東側の敷地1万8910・64平方メートル。建設規模はS造2階建て、延べ床面積3164・55平方メートル。10月末出来高が65%。
同センターは、「技術の北陸電工」をアピールするための技術開発の総本山として計画。開発コンセプトは、「DX化を強力に推進し「はたらき方改革」、「企業風土の改革」をはかる」。
ローカル5Gのほか、全館WiFi6対応、エネルギーリソース(EMS)を導入する。屋上には太陽光パネル(出力70kw)も設置。
1階は、バスケットボールやフットサルができる体育館、研究開発室をはじめ、ホールには、研究開発した機器や装置を展示。ボルダリング、技能五輪選手が実演できるスペースなども設ける。2階には、ランニングコースやトレーニングルーム、講義室を備える。屋外施設として、高所作業車逸走体験エリア、掘削実習場外周ランニングコース、調整池とビオトープも整備する。
完成は来年3月、同4月からの運用を予定。設計と建築工事の施工は、日本海建興が担当。