名古屋市住宅都市局は、リニア中央新幹線新駅の駅前≠ニなる街区のうち、名古屋駅東地区の民間開発を見据えた2021年度の検討に着手する。本年度は、民間の視点に立ってモデル開発プランを検討、今後民間事業者が開発を進めるに当たって、行政で用意できる施策・誘導方策を整理する方針だ。
開発モデルプランは▽公的な施設との連絡動線を確保した複合ビル(最大延べ床面積1万0200平方b)▽建築基準法による認定制度等(容積率の割増・移転)を適用した複合ビル(同1万5600平方b、同1万平方b)―を設定。建築計画上の基本条件や空間活用について考察する。
その他、リニア新駅上部空間に整備する計画の道路や広場の整備と連携した民間開発の誘導に向けた基礎調査を行う。公共施設整備と連携した民間開発の先進事例を集め、名古屋駅東地区への適用について検討する他、周辺街区の開発が完了した時点の広場周辺の日影、広場から周辺建築物の見え方を視点として検証、課題や対応方策をまとめる。駅上部空間と周辺街区はウオーカブル空間を形成することになるため、ウオーカブル税制特例制度を活用した場合の税の減免と事業の収益性への影響を開発モデルプランを基に試算する。
また、リニア駅上部空間と地下鉄東山線に接続する地下接続空間について、接続施設の空間パターン案を作成する他、埋設管の移設計画について課題などを検討する。
同局では、今回検討する開発モデルプランは、モデル的なビルの在り方を考えるためのもので、場所を特定していないとする。
リニア中央新幹線(品川〜名古屋)の各駅のうち、名古屋駅は新駅周辺に建築物が全面的に張り付いた既成市街地にできる唯一の駅だ。他の駅では、リニア新駅を向いた駅前空間づくりを駅所在自治体が一から誘導することができるが、名古屋駅はすでに建築物が張り付いている中で「人々が集い、憩い、交流する広場が中心にあるまち」(リニア駅周辺のまちづくりの方向性中間とりまとめより)を形成できるよう、開発誘導していくことが市に求められている。
JR東海は、リニア駅の地上出口をどこに設けるか、現時点で公表していない。都市計画決定済みの駅の位置をみると、駅の重心は名古屋駅西地区側に寄っている。他路線との乗り換え利便性を考えると、駅東地区での地上出口は名古屋駅側に近い位置になるのが自然とみられる。
提供:建通新聞社