北海道建設新聞社
2021/10/01
【北海道】夕張市が本庁舎改築に苦慮 財政立て直しで議論進まず
夕張市は、老朽化が進む市役所本庁舎の耐震対策に頭を悩ませている。建物は現耐震基準を満たしていないほか、土砂災害警戒区域に位置しているため、既存庁舎の耐震補強は考えにくく、移転改築しか選択肢がないのが現状だ。市はまちづくりマスタープランなどの地区構想や施策を年度内にまとめる予定だが、担当課によると「現時点で本庁舎については検討が進んでおらず、具体的なことが決まっていない」という。
地区構想や施策検討に向け、ことし公共施設の現況調査を実施。市役所本庁舎の老朽化や土砂災害の危険性などあらためて課題を整理した。
本町4丁目2の本庁舎は1978年に完成。RC造、地下1地上6階、延べ7364m²の規模で、築後43年が経過し、老朽化が目立っている。2013年度の耐震診断で、耐震不足が判明。18年9月の北海道胆振東部地震では、震度4で市庁舎の市議会議場の天井の一部が落下している。
市はコンパクトシティー構想の一環で、清水沢地区に住宅を集約。市教育委員会や市民ホール、図書館などが入る拠点複合施設「りすた」が20年3月、認定こども園がことし4月にそれぞれオープンしている。21年度からおおむね20カ年を目標年次とするまちづくりマスタープランや立地適正化計画でも、清水沢地区を教育、子育て、商業などの拠点と位置付け、都市機能や居住の誘導を図り、生活利便性の拠点形成に取り組む考えだ。
一方、市役所庁舎がある本庁地区は、運営会社の破産でマウントレースイスキー場やホテルマウントレースイなどの休業が続いており、周辺の衰退は加速している。
財政破綻で、全国唯一の財政再生団体の市が借金返済を完了するのは、27年3月の見通し。資金が乏しい現状では、喫緊の課題を抱えながらも本庁舎の今後について、本格的に議論できないのが実情だ。