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日刊建設工業新聞
2021/09/28

【鳥取】シミュレーションで中間報告/帯水層の地下水流を分析/淀江地下水調査会

 県淀江産業廃棄物処理施設計画地地下水等調査会の第6回会議が25日、米子市淀江町西原の米子市淀江文化センター(さなめホール)で開催された。会場には森田豊充県土整備局長らが出席し、リモートで参加した嶋田純会長ら委員5人と、地下水調査の進ちょく状況について情報共有した。
 はじめに水理地質構造の解析状況について、建設技術研究所の和田卓也管理技術者が報告した。前回からの大きな変更点として、地下水シミュレーションの解析領域拡大に伴い、計画地である淀江周辺の地質構造の見直しが図られた。結果、これまで分化されていた火山灰質砂礫層(上部)と安山岩質火砕岩(自破砕部)は一連の火山活動で噴出した同じ堆積物であることが判明し、第3帯水層の区分を「安山岩質火砕岩」として統合。同様に火山灰質砂礫層(下部)や江府層群相当層、火山岩類なども一括して「未区分火砕岩類」に統合された。
 水文調査などの進ちょく報告では、第1〜第3各帯水層の地下水面状況を分析した結果、第1帯水層では台地部と谷地・平野部の水位差が大きいこと。第2・第3帯水層では、台地・谷地部で第2帯水層の地下水位が第3帯水層よりも高いのに対し、淀江平野部では逆転していることなどを指摘。地下水の流れに関して、台地部・谷地部では下向きの流れが、淀江平野部では上向きの流れが生じているという仮説を提示した。これらの分析や調査結果を踏まえると、三輪山の清水・福井水源地ともに第3帯水層が主要供給源である可能性があるという。また、各ボーリング坑で測定された透水試験の結果をもとに、初期モデルに使う透水係数の設定値案を示した。
 続いて、水理地質構造や地下水・表流水分布などの現況を再現した「水循環解析モデル」の構築状況について、地圏環境テクノロジーの小林嵩丸氏が解説。地下水シミュレーションの中間報告として、▽構築モデルのパフォーマンスに問題はなかったこと▽初期設定値による解析では、本宮の泉を含む孝霊山〜鍋山付近で地表水が発生していないなど、観測との違いがみられたこと▽その原因として、山間部に分布する地質の透水性について実際よりもモデルの方が大きい可能性があること―などを報告。今後に向けて、モデルパラメータの見直しと再現性向上を図るとともに、酸素安定同位体比、CFCs、水温などの観測再現も並行して実施。次回調査会では、地下水流動系の可視化を目指すとした。
 最後に今後の調査会スケジュールについて確認。12月末ごろに予定されている第7回調査会で見直し後のモデル・シミュレーションの妥当性を評価し、来年2月の第8回調査会で最終成果の内容を検討することを申し合わせ、会議を締め括った。

日刊建設工業新聞