立山町の「(仮称)防災センターおよび児童館整備事業」(公募型プロポーザル)の設計者に、東畑建築事務所・鈴木一級建築士事務所JVが選定され、提案書の内容が公表された。要旨は次の通り。
【テーマ1 多世代が集い、憩い、語らう、交流拠点を創造する】
将来の新庁舎の建設を見据え、防災センター・児童館は南側にコンパクトに配置。施設間は、雁木空間「まち回廊」と2階の屋内渡り廊下でつなぐ。3施設に囲まれた「立山フォーラム」はマーケットや児童館祭りなどの祝祭空間として、災害時には多機能防災広場となる。意匠は、雄大な立山の風景に溶け込むシンプルで透明感のある建物とする。古き良き「日本家屋の機能性」を取り入れ、「心地よさ」のある空間とし、建物の分節、軒のある形態、内外の連続性、スケール感、健康材料の選択など、五感に響く建築とする。
【テーマ2 社会の要求に応え続けられる持続可能な施設】
多目的ホールを区切る防音間仕切りのほか、2メートルグリッドでエリアを特定できる木製パネルを導入して多目的利用を高める。児童館は図書コーナーを中心に各コーナーにつながる構成。構造はRC造の屋根と壁、S造のフレーム、W造の内装とする。立山の豊富な地下水などの気候風土を活用することで「ZEB Ready」を実現。さらに、ZEBの計算上は直接寄与しない技術も組み合わせ、省エネ性・経済性・快適性をより一層向上させた「ZEB+α」の施設づくりを提案。
【テーマ3 ソフトからハード、そしてマチを育てる仕組み】
過去に防災センターや児童館、庁舎の実績がある全国組織設計事務所(東畑建築事務所)と、立山町に精通した担当者をチームに加え、地域密着型業務を展開できる県内設計事務所(鈴木一級建築士事務所)の設計共同体。ワークショップとPRイベントを組み合わせて実施し、より多くの意見を効率的に集約し設計にインプットする。議会を持つ庁舎設計の豊富な実績を活かし、新庁舎の構想も同時提案。
今後のスケジュールは、基本設計を22年3月まで、引き続き実施設計を8月までに完了し、9・10月に工事発注。11月に着工し、23年8月の完成を目指す。