鹿児島大学が曽於市の県立財部高校跡地を候補地としている南九州畜産獣医学拠点(仮称)の整備計画案が明らかになった。総事業費は概算で約22億8200万円を想定。既存校舎を活用して教育・研究棟や宿泊施設を整備するほか、馬飼養施設や次世代閉鎖型牛舎、閉鎖型鶏舎の新設などを視野に入れる。順調に進めば2021年度中に実施設計を終え、22〜23年度で整備を行う方針だ。
人口減少対策や基幹産業である畜産業の持続を目的に、曽於市と鹿児島大学が連携して行う事業。16年3月に閉校した旧財部高校の敷地約3万uを活用し、地方創生エリア、馬エリア、牛鶏の飼育を行う産業動物モデル飼育エリアに区分した整備を計画している。
地方創生エリアでは、既存校舎を改修して、教育・連携棟や管理・研究棟、学生向けの短期宿泊施設を設ける予定。馬エリアでは、体育館と武道館を改修し、屋内馬場と倉庫を整備するほか、最大20頭規模の馬舎も新設する見通しだ。
産業動物モデル飼育エリアでは、最大400頭規模の次世代閉鎖型牛舎(繁殖・育成・肥育牛舎、治療牛舎)や5000羽規模の閉鎖型鶏舎を新設する方針。畜産ソリューションを手掛けるパナソニック環境エンジニアリングからのアドバイスを受けながら、周辺環境や動物福祉に配慮した先端技術での施設整備を図る。
跡地は現在、県が所有しているが、市では8月に譲渡を打診しており、順調にいけば21年度中に譲渡が完了する見通し。施設整備は22〜23年度に地方創生拠点整備交付金を活用して進め、管理運営は一般財団法人が指定管理者となって行う計画だ。
事業に当たって、市は9月補正予算案に教育棟の改修や牛、鶏舎の新設に関する設計費8091万円を計上。議決後速やかに入札公告が行われるとみられ、21年度中の完了を目指す。
18日、同市の財部きらめきセンターで住民説明会が行われ、五位塚剛市長は「24年4月の開校(開所)を目指す」との意向を明言。併せて、同拠点から財部駅までの道路整備(約1.2km)のほか、空き店舗の利活用なども図っていく考えを示した。