建通新聞社(神奈川)
2021/09/15
【神奈川】黒岩知事 平準化率「全庁を挙げて改善」
神奈川県の黒岩祐治知事は、国の調査で、全国で最も低いとされる神奈川県の公共事業における施工時期の平準化率について、「全庁を挙げて改善を進める」との考えを示した。新たに、平準化を促進するための庁内の推進会議を設け、目標数値の共有や、平準化の進ちょく状況の確認などを行う方針。14日の県議会本会議で、池田東一郎議員(県政会)の代表質問に答えた。
池田議員は、「新型コロナウイルス感染症のまん延により、本県経済は大きな打撃を受けている。観光業の回復が見通せない中では、公共事業により、経済の下支えをすることは県政の大変重要な課題である。そして施工時期の平準化は、同じ予算をより効果的に執行し、建設労働者の労働条件を改善するという観点から、積極的に取り組むべきだ」と指摘した。
その上で、「国土交通省は令和6年度(2024年度)までに市町村を含めた本県域の平準化率を0・7、関東地域では0・8に高めることを目標としている。神奈川県の平準化率をどのように改善するのか」とただした。
これに対して黒岩知事は、「4〜6月の工事量を増加させ、施工時期の平準化を進めることは建設企業の人材や資機材の有効活用につながる。これまで県は、例年工事量が少なくなる時期の工事量を増やすため、年度当初から着工できるよう、可能な限り早期の発注に努めるとともに、年度をまたぐ工事の拡大に取り組んできた」と説明。一方で、「5月に発表された国土交通省の調査結果によると、神奈川県における平準化率は0・64と全国で最も低い数値になっている。この結果から、早期発注や年度をまたぐ工事について、他県と比べ、まだ取り組みが不十分であったと受け止めている」と答弁した。
それらを踏まえ、平準化の取り組みを強力に進めるため、「新たに庁内の推進会議を設け、目標とする数値を共有するとともに、平準化の進ちょく状況を確認。また、予算編成に先立ち、それぞれの公共事業について、年度をまたいだ工事とすることができるかどうかを十分に検討し、4〜6月の工事量を確保していく」と述べた。
さらに、「こうした取り組みにより、全庁を挙げて平準化率の改善を進め、建設企業の経営の安定化を図るとともに、地域経済を支える、公共事業の円滑な実施に努めていく」と強調した。
〜国が24年度に向けた平準化率の目標を設定〜
国土交通省が5月に発表した20年度入札契約適正化法に基づく実施状況調査の結果によると、神奈川県の公共事業における施工時期の平準化率(年間を通した月平均の工事件数の4〜6月の月平均の工事件数の割合)は0・64で全国で最も低い。平準化率の全国平均は0・77、全国最高は兵庫県の0・91。
こうした中、国土交通省は、19年6月に公共工事品確法が改正されたことを踏まえ、24年度に向けた平準化率の目標(新・全国統一指標の基準値および目標値)を定めた。併せて、平準化率の向上に向けて、債務負担行為や柔軟な工期設定などに取り組むよう地方自治体に求めている。提供:建通新聞社