「当初議会での県立野球場の建て替え表明後、産業界から改めて産業展示館(1〜3号館)の建て替え要望を頂戴した。それぞれの建て替えと合わせ西部緑地公園内の施設を再配置する」―。石川県の谷本正憲知事はこのほど開かれた、9月補正予算案の記者会見で、県西部緑地公園内の県立野球場と産業展示館を園内において建て替えると表明した。調査費として1000万円が盛り込まれており、建て替えにあたっては園内の配置レイアウトを見直すという。
県内最大のスポーツ・イベント拠点である県西部緑地公園(公園面積54・8ヘクタール、駐車台数3500台)。そのスタートは1972(昭和47)年の産業展示館の建設にさかのぼる。翌年、ここを主会場に日本海博覧会が開催され、博覧会終了後、1974年に県立野球場が移転し、以後、その他のスポーツ施設や産業展示館増設などの整備が進み、現在、園内及び一帯には野球場、産業展示館1〜4号館、陸上競技場・補助競技場、ソフトボール場、テニスコート、いしかわ総合スポーツセンターなどがある。
谷本知事は、両施設の建て替えを現在地とする理由について、「国道8号、北陸自動車道金沢西インターチェンジ、金沢外環状道路海側幹線に近く、自動車を使って金沢駅から15分、金沢港から15分、小松空港から30分の距離にある」と交通の至便性をあげた。
今回新たに建て替えに言及した県産業展示館は1〜4号館で構成し、4号館(1992年築)を除く、1〜3号館の老朽化が著しい。それぞれの建築面積は1号館4422平方メートル、2号館3015平方メートル、3号館8008平方メートルとなっている。
建て替えにあたっては「統廃合による大規模化や様々な利用形態に応じた機能を付加することを視野に入れる」とし、多様なコンベンションやイベントに対応したいとした。コンサート会場機能も遡上(そじょう)に乗ってくる見通し。
築後約半世紀が経過した県立野球場は、両翼91・5メートル、中堅122メートル、収容人員1万7126人で、内野がクレー、外野が天然芝、照明設備6基という仕様。野球場の建て替えに関して知事はこれまでの議会答弁で、プロ野球仕様とした場合、収容人員3万人、両翼までの距離99メートル以上が必要とし、他県を例に挙げ「5年以上の事業期間と野球場本体で100億円を超える予算を要すビッグプロジェクトになる」としており、この100億円が目安となりそう。
このほか園内では、「陸上競技場と駐車場の距離が離れている」「園内道路の一方通行個所があるなど経路が複雑」といった課題があり、知事は「全体のレイアウトをきちんと考えておく必要がある」とした。
工期には「全体完成には6ないし7年かかるかもしれない」とし、財源のめどについては「幸い令和5年度末には北陸新幹線県内全線開業により負担がなくなる」とした。