盛り土、斜面の安全確保に向けた条例案を検討する専門家会議(座長・松見吉晴鳥取大学前学長顧問)が9日開かれ、事務局は規制対象の規模をはじめとする条例案を示し、おおむね了承された。今後、盛り土、切り土に関する技術的な基準と合わせ10月下旬に最終案をとりまとめる。
静岡県熱海市で起きた土石流災害を踏まえ、県は来年施行の条例を検討している。一定規模以上の盛り土や、斜面に太陽光発電施設などの工作物を設置する際、知事による許可制度を取り入れる。
工事着手前には近隣関係者への説明と、保証金の預け入れを義務付け。工事期間中は中間検査と完了検査を実施する。完成後は10年間にわたって維持管理点検の結果報告も求める。
示された条例案によると、盛り土の対象規模は2000平方b以上、かつ高さ1b以上とし、近県の広島県などの事例を踏まえた。
斜面地は傾斜度が15度を超えて、かつ高さ5bを超える斜面とし、工作物の面積300平方b以上、または高さ15b以上に規制をかける。
また、建設発生土の搬出についても許可制を導入し、土量500立方b以上を対象とする。
会議では「2000平方bに満たなくても高さを積まれたらどうなるのか」「規制対象未満に小分けして申請された場合は」といった意見が寄せられた。
県は今後、条例案とともに盛り切り土の高さや段切り、排水処理対策などの技術基準を9月下旬にまとめ、10月にパブコメを実施。同月中に最終案を固める。その後、県議会に条例案を提出して来年6月の施行を目指す。
日刊建設工業新聞