日本工業経済新聞社(群馬)
2021/09/10
【群馬】利根川ダム統が相俣ダムで放流設備新設
国土交通省利根川ダム統合管理事務所は、みなかみ町にある相俣ダムへの放流設備新設事業に着手する。政府調達協定(WTO)対象で、月内にも堤体掘削などを行う土木工事の一般競争入札を公告する方針。発注規模6億9000万円以上を見込む工事で、約46カ月の工期を設定。2022年度以降はゲート本体の工場製作を含む機械設備工事や、ダム管理用制御処理設備の更新を含む電気設備工事の発注も予定されている。全体の完了は26年度末となる。
相俣ダム(みなかみ町相俣1493)はクレストゲートと県企業局の発電所取水口によって放水を行っている。貯水位がクレストゲートの位置を下回った場合、発電による放流しかできない状況となっている。新たなゲートを設けることにより、事前放流などの降雨への対応の幅が広がり、安全性が向上する。
重力式コンクリートダムの相俣ダムは1959年に竣工。堤体積6万3000立方m。堤高67m、堤頂長80mの規模となっている。新たに設置するゲートは引っ張りラジアルゲートを採用。左岸側の1号ゲートの直下を掘削して設置する。設計は19年度にプロポーザル方式により選定した中電技術コンサルタント(広島県広島市)が担当している。
21年度は堤体改良工事として、土木工事を発注する。概要には◇仮設備工◇堤体掘削工◇コンクリート工◇グラウト工◇修理用ゲート◇雑工−各一式が盛り込まれる。修理用ゲートはダム湖側に設置するもの。余裕期間制度(フレックス方式)の活用工事となり、工期約46カ月におよぶ大型工事となっている。発注規模は6億9000万円から15億円未満。
土木工事の進捗状況を考慮して、機械設備工事を発注する。ラジアルゲートの工場製作を行った後に、現地での設置工を行う。具体的な年度や発注方法は未定、22年度以降に公告する。
土木工事および機械設備工事が進んだ段階で、電気設備工事を発注するながれ。電気設備工事には既設ゲートなどを管轄するダム管理用制御処理設備の更新も盛り込む考え。
同事務所において、既存ダムへの放流設備新設は初の事案となる。
周辺では、国土交通省鬼怒川ダム統合管理事務所が6億円以上を投じ、五十里ダム(栃木県日光市)で放流設備新設を行った。