京都市は8日、開発審査会(会長・須藤陽子立命館大学法学部法学科教授)に分家住宅に係る包括承認について諮った。開発審査会は「異議なし」として承認した。また報告案件の市街化調整区域における移住定住の促進に係る新たな条例の制定について、内容を説明した。
分家住宅に係る包括承認では、京都市開発審査会付議基準において、分家住宅を建築する理由について、社会情勢を照らした弾力的な運用を行えるよう文言を修正したことと、包括承認基準1の新設(書類を明確にし、付議基準1に係る包括承認基準を定める)を説明した。
文言の修正は、付議基準1の「分家住宅の建築」において、〈4 婚姻その他独立して世帯を構成する合理的事情があること〉を〈4 当該地に建築を必要とする理由について、結婚や介護などの合理的事情があること〉に修正した。
包括承認基準1の新設では、必要な書類として、(1)位置図(開発予定地等)(2)既存建物及び計画建物配置図(3)土地及び建物登記全部事項証明書(4)戸籍謄本(本家を含む)(5)理由書(6)固定資産税の課税明細書又は課税台帳の写しを示した。
報告案件の市街化調整区域における移住定住の促進に係る新たな条例の制定では、現在パブリックコメントを行っている「(仮称)京都市市街化調整区域における開発許可等の基準を定める条例」案の内容を報告した。
市は、人口減少や少子高齢化などの課題に対し、将来にわたって暮らしやすく、魅力や活力ある持続可能な都市構造を目指した、土地利用の誘導などを図るためのまちづくりの指針として、平成31年3月に「持続可能な都市構築プラン」を策定。同プランでは市街化調整区域を「緑豊かなエリア」と位置付け。その後、令和2年7月に空き家の活用に係る基準を新設した(一定の条件を満たす場合、開発審査会の議を経た上で空き家となっている農家用住宅を新しく移り住む人のための住宅に変更できる)。令和3年5月に市街化調整区域における地区計画運用基準を改正し、既存集落における建物用途の拡充を行った。
都市計画局がまとめた「(仮称)京都市市街化調整区域における開発許可等の基準を定める条例(都市計画法第34条第11号に基づく条例)」案によると、11号条例の区域指定により、市街化調整区域で原則建てられなかった戸建て住宅の新築等が新たに可能となる。
条例を適用できる区域は、市街化区域から概ね1qの範囲内に位置し、50以上の建築物が連たんする市街化調整区域の町で、条例に基づく申出を行って指定を受けた区域。区域指定の申出は町の自治組織で行う。
なお土砂災害警戒区域などの災害の危険があるエリアや、農振農用地区域などの保全すべきエリアは、区域に含めることはできない。
建築できる土地は、▽(市街化区域と市街化調整区域を区分する)線引き時点(昭和46年12月28日)で宅地だった土地▽線引きから条例公布日までに建築物が適法に建てられた土地。
用途は、▽戸建て住宅(例・分譲住宅や自己居住用住宅)▽住宅と周辺住民が使用する店舗等を併用する建築物。
建築行為に係る要件は、▽敷地面積120u以上▽高さ10m以下(地上2階以下)。
開発審査会で市は11号条例の制定について、住民合意を基礎に、審査会等への付議を経ることなく、ニーズの高い住宅供給を既存の宅地等に限って促し、既存集落の地域コミュニティの維持・定住人口の確保に寄与するとし、○住宅供給量の向上○住民の選択自由度の向上○合意形成が図られやすい住宅用途に特化し、供給スピードを向上を条例のポイントとして示した。
パブコメ後、令和4年2月市会に提案し、可決されれば令和4年度の公布・施行を予定する。