彦根市は、6月議会で解体方針から「方向性を検討する」と示された「ひこね燦ぱれす」と計画が「延伸」された新図書館「中央館」の整備計画について、「ひこね燦ぱれすを解体せず存置し、図書館として整備を行う」との方針を公表した。決定に伴い燦ぱれす敷地を事業用地から除くための「市スポーツ・文化交流センター」の敷地計画修正設計を早ければ11月、外構工事は全体完了の22年6月に向け12月にも発注し、新図書館の整備は今後策定する都市再生整備計画(2期計画)期間中に行う。
当初解体し「市スポーツ・文化交流センター」の事業区域とする予定であったひこね燦ぱれすについて、解体を取りやめ、図書館として有効活用を図る。図書館整備を立地適正化計画、都市再生整備計画に位置付けることで国庫補助金の交付等、財源確保が可能としている。今後は、ひこね燦ぱれすの図書館化に向けた調査検討や、彦根市図書館整備基本計画の見直し、公共施設等総合管理計画個別管理計画の策定、都市計画整備計画(第2期)の策定とそれに基づく図書館整備―を進める。
「市スポーツ・文化交流センター」整備事業は先行している「南工区」は造成工事を今年度、22年度7月から外構工事に着工し同年度中に完了。当初「ひこね燦ぱれす」を含めていた「北工区」は今年度修正設計を行い、22年度7月造成および外構工事(既設エリア)に着工、同年度中に完了。用地拡張部分は22〜23年度造成工事、23年度外構工事。このほか周辺施設の小泉城南小学校線は今年度に地下道修繕工事、22年度に道路整備工事。小泉庄堺線は21・22年度それぞれ道路整備工事。福満公園は21〜22年度エントランス広場施工など―。
先月30日に発表された9月市議会に上程する補正予算案において関連予算として、ひこね燦ぱれす図書館化調査検討業務費の債務負担補正1245万円(21〜22年度)、彦根市スポーツ文化交流センターの事業区域(北工区)変更に伴う造成工事および外構工事の修正設計費用1509万円、ひこね燦ぱれす解体工事限度額1億0324万円(21〜22年度)の債務負担の廃止、また、清崎町で予定していた図書館(中央館)の整備延伸に伴う仕様書作成および市場調査委託業務料1125万円の減額補正を盛り込んだ。
「彦根市スポーツ・文化交流センター」は、国スポ会場として総額82億2000万円を投じ、JR南彦根駅西口近くでRC造一部S造3階建の体育館施設と、2階建の交流施設から成る総延面積1万3776平方b規模の複合施設を、鴻池組の施工で本体工事を整備中(設計=石本建築事務所・大阪市中央区)。
「ひこね燦ぱれす」(彦根市小泉町648―3)は、RC造2階建、延2267平方b規模の、多目的ホールや研修室等を備える施設。21年度末までの指定管理者は財団法人彦根勤労福祉会館。
当初計画では、市スポーツ・文化交流センターの事業用地は「ひこね燦ぱれす」を解体した跡地と、その周辺をあわせた約3万6000平方bとなっていたが、5月に就任した和田裕行市長が解体反対の声を受け「財政影響を踏まえて方向性を検討する」としていた。事業用地の21年度分の外構工事費予算は1億2000万円(債務負担行為21〜22年度)。
またJR河瀬駅付近で用地決定まで進めてきた新たな図書館「中央館」の整備についても、同じく6月議会で財政状況等を理由に当面「延伸」を表明。9月市議会での具体的な方針が待たれていた。「中央館」整備計画は用地決定を経て21年度当初予算に1418万円を措置済み、当初計画では新たにコンサル業務を委託し、用地確保に向けた諸手続きや整備にあたっての仕様書作成、22年度以降の基本や詳細設計、建設工事へと進めるとしていたが、今回の補正で減額措置となった。
提供:滋賀産業新聞