高知市は、2022年度から10年間で進める「第2期空家等対策計画」の素案をまとめた。現行の計画が21年度末に完了することに伴い、基本方針や取り組みを充実させる。現計画と比較し、「空き家の適切な管理の促進」を重点課題とし、管理不全な空き家の改善率と危険性の高い空き家の除却件数について目標を設定している。
市では、空き家問題の本質を「適切な管理がされない空き家による近所迷惑」と捉え、空き家の適切な管理の促進に向け、第2期計画では相談物件の6割を改善することを目指す。20年度に実施した空き家実態追跡調査の結果、倒壊の危険性が高い空き家が977件あったことを受け、所有者に対する指導や支援により、今後10年間で管理不全な空き家1000件の解体を目指す。
また、現計画に「空き家を未然に防ぐ取り組み」を追加し、状況に応じて3段階の取り組みを進める。第1段階の空き家を未然に防ぐ取り組みでは、長期優良住宅の普及や住宅の耐震化といった良質な住宅ストックの推進や、相続登記の促進などを実施する。第2段階の「空き家の適切な管理促進のための取り組み」として、空き家管理サービスの普及や浄化槽の適切な管理などを進める。第3段階の「空き家の利活用と取り組み」では、空き室や公共施設としての利活用を含めた対応策を盛り込む。
全国的に空き家が増加する中、高知市でも空き家の周辺住民からの相談が増加した。そのため17年3月に「高知市空家等対策計画」を策定し、空き家の適切な管理や利活用の取り組みを進めてきた。市の実態調査による空き家率は15年度の5・0%が20年度に5・8%と増加したが、老朽住宅の解体件数が増加していることから、危険性の高い空き家は減少傾向となっている。
市では今後、協議会での意見集約やパブリックコメントなどを経て、22年3月までに最終計画を策定する。
提供:建通新聞社