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鹿児島建設新聞
2021/08/25

【鹿児島】県内建設業の労働時間 全産業で最多 平均比20時間超/浮かぶ課題「適正工期」の推進を

 県内建設業(事業所規模5人以上)で働く従業員1カ月当たりの労働時間が全産業の平均を20時間以上も上回っていることが明らかになった。2020年平均は168時間と4年連続で減少したものの、産業別では最多。工期の適正化や人手不足解消に向けた課題が浮かび上がる。 

 県の毎月勤労統計調査によると、建設業の20年月間実労働時間数は平均で168.1時間となった。11年以降170時間以上が続いていたが、10年ぶりに160時間台まで改善。過去10年で最も多かった14年と比べると15時間ほど少なく、働き方改革に向けた企業努力が数字に表れてきた感がある。 
 ただ、産業平均と比較すると大きな開きがある点は見過ごせない。全産業の141・9時間よりも建設業は26.2時間も多く、産業区分(15分類)の中で最多。改善してもなおこれだけの差があることを考えると、以前の労働時間がいかに過酷だったかが分かる。 
 出勤日数も建設業は21.3日と最多で、全産業の中で唯一20日を上回っている状況。週休2日の導入が広がりつつあるとはいえ、産業平均よりもまだ2日程度多い。同じ建設業でも、事業所規模によって開きがある点(同30人以上19.9日)も見過ごせず、「代わりの人がいないので、思うように休みを取れない」といった小規模企業が抱える実情が垣間見える。 
 最多の建設業に次いで労働時間が多かったのは、情報通信業の163.2時間や運輸業・郵便業の162.5時間−など。いずれも前年からは減少したものの、全産業の平均を上回る業種となっている。 


★記者の眼 
 現場の週休2日 
 理想と程遠く 

 建設業の働き方改革が叫ばれる中で、実態がまだまだ理想に追いついていないことを裏付けるデータ。特に建築分野では、日給月給制から脱却できない下請け業者も多く、「技能労働者の6〜7割程度がこれに当たる」との指摘も目立つ。 
 現場レベルでは、公共、民間を問わない工期の適正化も課題だ。「週休2日」とはいっても、実際は「4週6休」で対応している現場が多く、4週8休のいわゆる「完全週休2日」への道のりまでは程遠い状況。加えて、工事書類の簡素化に向けた取り組みも欠かせない。 
 2024年4月の時間外労働上限規制適用まであと2年半。制度面のテコ入れなくして、そのスタートは見えない。 
(田原謙一・常務取締役(兼)報道部長)

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