静岡県熱海市で起きた土石流災害を受け、県は11日、盛り土を含んだ開発を規制する条例の制定に向けた専門家会議を開いた。条例の骨子案に盛り土をはじめ、斜面に工作物に設置する行為を許可制にするたたき台が示され、10月下旬までに最終案を取りまとめる。
専門家会議は松見吉晴鳥取大学前学長顧問を座長に、砂防、地質、土質の研究者4人がメンバー。県は条例の規制対象に一定規模以上の盛り土、切り土、一定こう配以上の斜面に工作物を設置する行為を盛り込み、これらは知事の許可を必要とする骨子案を提示した。
許可には安全基準を設定するほか、近隣関係者に事業計画の事前説明を求める。事業者には保証金の預け入れを義務付けて実効性を担保。事業終了後に県が完了検査し、施工後の点検結果の報告も要件とする。
また、建設発生土は不適切な盛り土の要因に結び付きやすいため、一定規模以上の土を場外搬出する場合はあらかじめ届け出を求める。
順守しない場合は勧告、命令措置など罰則規定も設ける。
会議では「施工後の管理をどのくらいの期間を見込んでいるのか」「地質的に湧水が出やすいところなどがあり、一律の対応でいいのか」といった疑問が寄せられた。
事務局の県技術企画課によると、盛り土規制条例は全国26都府県にあり、規制方法の大半は許可制だという。また、鳥取県の場合は斜面に設置する工作物を含めている点が特徴。太陽光や風力発電施設を想定している。
今後、盛り土の安全確保に必要な技術基準などを検討して10月下旬までに最終案を固める。その後、2月県議会に条例案を付議。年度内に制定する。
日刊建設工業新聞