松山市公営企業局は、2017年度から26年度までの10年間を計画期間とする市の第4次下水道整備基本構想と下水道事業経営戦略について本年度に中間見直しを行う。主な検討事項は、新たな浸水対策への対応、施設の耐水化への対応、下水道汚泥固形燃料化事業の推進、財政収支の検証―の4項目。7月26日に現況の確認や検討事項について有識者や市民など上下水道利用者と意見交換する経営懇談会の初会合を開き、見直しの検討作業をスタートした=写真。同局は次回懇談会で見直し案を提示し、改めて意見を求めることにしている。
市は17年3月に市の下水道整備の基本方針や汚水処理の普及や浸水対策、長寿命化対策・地震対策などの施策をまとめた基本構想と、総額600億円(年当たり60億円)の投資・財政計画を定めた経営戦略を定め、相互に連携して下水道事業を推進している。
策定後に頻発している大雨被害など近年の異常気象による水害への備え、さらには低迷している下水汚泥のリサイクル率向上に向けた取り組み等の見直しが必要になっていることから、財政収支の検証を踏まえ検討することにした。
懇談会で同局は、新たな浸水対策への対応について、山西地区の線路冠水や北条地区での住宅浸水を踏まえ、これら浸水対策についての整備方針を検討する必要があるとした。施設の耐水化への対応については、処理場やポンプ場の建物の耐水化(防水シャッターや防水扉への更新または移設)や電気設備の上階への移設などの対策の必要性を示した。
下水道汚泥固形燃料化事業の推進については、西部浄化センターの汚泥焼却施設の老朽化への対策や下水汚泥のリサイクル率向上から同事業を推進する必要があるとし、本年度にDBO方式で事業者を選定する考えを示した。また、これら取り組みを踏まえ後期計画期間の投資内容を精査し、健全経営を維持できるよう財政収支を検証する必要性にも触れた。
懇談会委員からは、新たな浸水対策について「想定最大規模降雨(1000年に一度級)による洪水浸水想定区域図などに対応した見直しが必要」などの意見があった。市は本年度中に次回懇談会を開催し、これら検討事項4項目について、委員からの意見を踏まえた見直し案を示す考え。
提供:建通新聞社