21年建設事業関係功労者等国土交通大臣表彰に、富山県建設業協会常任理事で藤井組(南砺市坪野)代表取締役社長の藤井秀之氏が選ばれた。
多年建設業に精励し、関係団体の役員として地方業界の発展に寄与したことが認められ、「こういった表彰をもらえるとは思っていなかった。協会や会社の皆さんのお陰で大変名誉ある賞をいただき、感謝したい」との感想を述べる。
地域建設業を取り巻く経営環境は依然厳しく、「われわれが安全・安心を守り、地域づくりをしていくためには、一定の公共事業予算が安定した形で確保されることが大事」と訴える。
民主党政権時代は、地元・砺波支部でも同業の廃業が相次いだという。「公共事業予算が減り、労務単価もダウンが続き、いろんな影響が出た。各社は赤字になるのを防ぐのが精一杯で、会社存続のため役員と従業員の給料をカットし、若手採用も手控えた」と振り返り、「先行きが見通せず、経営者が将来に対する自信や気力をなくした。政治の安定も重要であることを痛感した」と説く。自民党に政権復帰後、「昔のような右肩上がりではないが、徐々に労務単価がアップし、数年前からは国土強靱化も始まり、必要な公共事業予算が確保されつつある」と捉える。
一方、担い手の確保・育成も喫緊の課題。「高齢化が進行し、将来的に心配な状況。働き方や建設業のイメージを変え、若い人たちが働きたいと思える、働きやすい職場環境を作ることが大事」との考えを示す。
3Kから新3Kへの転換が求められる中、現状について「給与は、新卒採用でも他の業種に引けを取らないような形を各社が取っている。休暇は、週休二日制を採用する会社が増え、弊社も去年から導入した。希望に関しては、自分の勤める会社がずっとその地域で必要とされ続けること」と強調する。
今年3月に完成した新本社社屋について、「低炭素社会の実現を目指し、Nearly ZEBとして、83%の一次エネルギー消費量の削減を実現した」とし、「設計者には、100年後も通用する社屋にしたいと依頼した。社員が誇りを持って集え、南砺市が推進するSDGsにも貢献したかった」と説明する。近隣住民からも注目が集まり、完成後には社屋を見学してもらった。「住民から(本社のある)坪野じゃないみたいと言われ、建てて良かったと実感した」と述べるともに、「コロナが収束したら、敷地内のイベントスペースで、バーベキューをするのが楽しみ」と目を細める。
ふじい・ひでゆき 1954(昭和29)年生まれ。66歳。住所は南砺市利賀村栗当。中央大学理工学部土木工学科卒。78年4月藤井組入社。専務取締役を経て、95年2月から社長。県建設業協会砺波支部長、井波建設業協会会長、利賀村建設業協会理事も務める。