県と千葉市は21日、水道事業の統合などを議題とした連携推進会議を県庁本庁舎5階大会議室で開いた。熊谷俊人知事は、冒頭のあいさつで「共通する課題を解決し、双方にとって意義ある結論にたどり着くことで、千葉県全体の力を高めていくことができると確信している」と力を込めた。対する神谷俊一市長は「今日は第1回の会議だが、今後も継続的に意見交換させていただき、双方の発展につなげていく場にしたい」と求めた。これを受けて熊谷知事は「県と政令市の理想的な関係を一緒につくっていこう」と呼び掛けた。
会議は、県と市の間で特に調整が必要な事項について協議を行うもの。スピード感をもって方向性を示すことで、それぞれの行政サービスおよび効率の向上を図るとともに、さらなる連携により、県全体の活力を高めていく。
市は、速やかに県営水道と市営水道の事業統合の方向性を示すよう求めるとともに、事業統合を「水道広域化推進プラン」に位置付けることを検討すべき課題として挙げた。
市内では、県営水道が都市部を中心に供給している一方で、人口密度が低い地域では市営水道が供給を行っている。
市は、経営効率の低い給水地域においても、市民負担の公平性を図る観点から県営水道と同じ料金体系としており、厳しい経営状況となっている。また、市域に水道事業体が2つ存在していることで、人件費や維持管理費などの行政コストが余計に費やされている。さらに、共同で整備する予定の浄水場が建設に至っておらず、必要な水量を県営水道からの受水によって賄っているため、未活用水源の費用と受水費の二重負担が生じている。
会議後の記者会見で、熊谷知事は市営水道に関して「県として全県的な視点をもって、課題解決のための具体的な検討と協議を進めていくことを確認した」と述べた。さらに「広域行政体の立場から課題の解決に向けた道筋を提示し、それぞれが負担する金額などを精査した上で関係者に丁寧に理解を求め、しかるべき時期に結論に到達できると思っている」との見解を示した。
神谷市長は「これまでなかなか結論が出なかったが、県の広域的な立場からの見方も入れ、さまざまな案を議論しながら、関係者に理解いただけるよう、解決策を見出していきたい」と話した。